企業経営では「無駄」がとかく嫌われる。
効率化、標準化、単純化。確かに重要だ。
無駄を省くことに成功すれば、
コスト削減、従業員の負荷軽減、
品質の向上などに繋がる可能性がある。
それは企業にとっては明らかに「善」だ。
効率化の果てに
私も無駄を省くことは好きで、そのためにいろいろなITツールを活用している。
効率化につながるような投資はためらわずに行うようにしている。
しかし、無駄をゼロにしようとは思っていない。
効率化の果てに、ロボットのように効率化した従業員が働く、
そんな企業を作ることは望んでいない。
無用の用
「無用の用」という言葉がある。
役に立たないように見えるものでも、
かえって役に立つこともある。
この世に無用なものは存在しないという教えだ。
一見無用なように見えた、ささいなコミュニケーションに意味があることもある。
無駄だと思ってアウトソーシングした業務が、実はその会社の強さの源泉だった、ということもある。
省いてよい「無駄」と、そうでない「無駄」があるのだろう。
判断のためには、目の前のささいな効率化といった短期的、局所的な視点だけではなく、
広い視野と、過去から未来までの時間軸を想定した「本当の効率化」を考えなければならない。
目の前の効率化が、明日の非効率を生まないように。