記憶はあいまい②〜記憶を作る

迷子の記憶〜記憶はねつ造できる

心理学者ロフタスの行った実験で、「ショッピングモールの迷子」というものがある。

被験者の子ども(A)に対して、親や年上の兄弟がいくつかの過去の想い出を話した後に、「Aは小さい頃、ショッピングモールで迷子になったよな、覚えているかい?」と問いかける。

これは作り話であり、Aは当然「迷子になったことなどはない」と返事する。
そこで、親や兄が「その日はとても暑かった」「白いポロシャツで髭のお爺さんがお前を家まで送ってくれた」など、具体的なエピソードを話していく。
すると、Aは「そういえばそうだった」と、実際にはなかったことを思い出したと言い始める。
さらに「お爺さんのポロシャツは白ではなくて青だった」などと、自分で話を新しく創作することすらある。

「偽りの記憶」を埋め込む効果は強烈で、実験終了後に種明かしをしても、Aは「そんなことはない、自分は本当に迷子になった。しっかりと思い出せる」と強く主張することもあるそうだ。

これは記憶力の不確かな子どもだけに限った話ではない。
ロフタスの実験結果によれば、成人の4人に1人はこの方法で「偽りの記憶」を植え付けることができる。

経営コンサルタントの考え方

人間の記憶というものはかなり当てにならない。
後付けで新しい記憶を植え付けることすら可能なのだ。
「おれの記憶に間違いはない」「この目で見たのだから信頼できる」といった発言の多い仕事仲間や顧客には気をつけよう。

仕事において、議事録や会議メモといった文章が必ず必要なのは、会議の参加メンバーの記憶だけに頼って仕事を進めると、必ずといっていいほど「言った、言わない」の水掛け論が発生するからだ。

しっかりと記録を取ろう。完璧ではないが、記憶よりはマシだろうから。

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