以前、依頼を受けて起業予備軍向けのセミナーをやったことがある。
壇上から話していると、参加者の中に見知った顔があった。
それほど親密な人ではないが、どこかで会ったことがある顔。
あの人は確か数年前から、一般社団法人**協会を立ち上げて理事長として活動していたはずだが・・・
起業予備軍向けのセミナーなんて聞いても面白くないだろうに、と思いながら、講義を終えた。
講義終了後、SNS(当時はまだ頻繁にやっていた、今はアカウントを消してしまった)を見ていたら、
先ほどの人の投稿が目に入った。SNS上で友達になっていたようだ。
起業セミナーを受講しました、内容は、知っていることばかりでした(笑)。資料や内容を、自分のセミナーで活用します!
・・・・そりゃ、知ってることばかりでしょうよ。起業する前の人を想定したセミナーなんだから。
資料や内容を引用されるのはまあ仕方がないが、丸パクリするとこうもあからさまにSNSで発表されると、やはり気分がいいものではない。
明らかに自分よりもレベルの低いセミナーに参加し、
「知っていることばかりだ」と嘯き相対的に自分のレベルをアピールし、
その内容を堂々とパクる宣言をして。
自分には時間の無駄のような気がして仕方がないが、
経営者でいることを承認欲求の充足手段として考えている人には、
それはとても重要な行動なのかもしれない。
一応、「資料をそのまま使うのはできればやめてください」と丁寧なメッセージを送った。
すぐに謝罪の返信があり、投稿は削除された。
経営者には二種類いる。
やりたいことを叶えるにはそれしか手段がなくて、已むなく経営者になった人と、
ただただ認められたい、すごいと言われたいがために、経営者という肩書きが欲しかった人と。
後者の人と仕事をしない方がいい、彼らはあなたのことを、自分の承認欲求を満たす道具としてしか見ていない。