「損して得とれ」という言葉がある。
これは、短期的には損するようにみえても、
中長期的に見れば得することが(特にビジネスでは)ある。
なので短期の損を恐れるな、という意味だと理解している。
これは真実だ。
先日のPayPayの100億円キャンペーンも、
一時的には大幅なマイナスだろうが、
認知度の向上とアプリのダウンロード数、
利用回数増によるシェアの獲得が
中長期的にメリットがあると考えての施策だろう。
ただし、「損して得とれ」が常に正しいかというと、そうではない。
どこで得するかが見えているか
たとえばあなたの店が「損して得とれ」の教えにしたがい、
セールで大幅な値下げをしたとしよう。
一度お店に来てもらえたら、長く顧客になってくれる。
一時的に損しても、その後来店数が増えれば元が取れる。
ところがそうはならなかった。扱っている商品はどこにでも売っているものだったのだ。
セールで来たお客は、値引きにつられて来ただけで、
セールが終わればもっと安いところを求めて別のところに行ってしまう。
ビジネスプロセスの中で利益を得る箇所を「キャッシュポイント」と言う。
キャッシュポイントを把握していなければ、「損して得とれ」は機能しない。
キャッシュポイントの設計
たとえば上述の店が、そこでしか扱っていない商品ないしサービスを提供する店であれば、
値下げにより集まった客は元の価格に戻っても引き続きお店に来てくれたかもしれない。
また、お店に来た際に別の商品も合わせて買ってくれるのであれば、
そちらで利益を取れるかもしれない。(スーパーの卵1円といったセールは「ついで買い」で利益を出している)
来店時に個人情報を取得し、集まったデータベースにメールや郵送で後日何かを売る、という方法もあるだろう。
単純に値下げしただけではだめだ。客は来るだろうが、利益は出ない。
「損して得とれ」が、「損しただけ」にならないように、どこで得するのか、キャッシュポイントをきちんと設計しよう。