昨年、中小企業診断士資格取得の際に大変お世話になった「日本マンパワー福岡校」さんから、「合格者の今」というテーマでインタビューを受ける機会がありました。インタビュー記事はしばらくの間Webに掲載されていたのですが、何かの都合で?現在は削除されています。
日本マンパワー関係者の許可を得たので、ここに記録の意味でも転載しようと思います。
第2回:米倉博彦さん(35歳)/独立
日本マンパワー福岡校の卒業生の方に、
中小企業診断士の資格取得の動機や、取得後の活用などについて、インタビューしています。
米倉博彦さん(35歳)/独立診断士
■プロフィール
中小企業診断士、ネットワークスペシャリスト、第一種情報処理技術者。
1975年福岡生まれ。幼い頃、父の起業に伴い実家である長崎県五島列島に引越す。
福岡大学経済学部卒業後、複数の一部上場IT企業に勤務。
在職中はプログラマ、SE、Webデザイン、海外製品の評価や
ネットワークエンジニアなど様々な職種に従事。
診断士資格取得後、地場のコンサルティング会社に転職し2年半の修行の後、独立。
現在は「ITに造詣の深い診断士」として、
九州の小規模な企業相手に様々な支援を行っている。
好きな本 M.チクセントミハイの「楽しみの社会学」
好きな言葉 孔子「知之者不如好之者、好之者不如楽者」。
■受験歴
1次・2次:2005年合格(ストレート合格)、2006年4月登録
※日本マンパワー福岡校 4・5月ストレートコース(1次・2次)にご通学いただきました。
-資格取得の動機・目的
MP:ご無沙汰しております。昨年、独立なさったんですよね。
今日は、そのあたりのお話もじっくりとお聞かせくださいね。
では、はじめに、資格取得前のことを中心にお聞かせください。
資格の取得目的や動機などからお願いいたします。
米倉:IT系の起業にずっと勤務しておりまして、30歳を前に、世の中のことや、
会社の仕組みなどを体系的に理解したいと考えたことがキッカケです。
勉強するとしても、目標がないと続かないだろうと思って、いろいろと
調べてみたら、中小企業診断士という資格に出会ったという感じですね。
資格のことを調べていくうちに、中小企業のサポートができるのもいいな、
と感じたということもありますね。
MP:それは、なぜですか?
米倉:実家がまさに「ザ・中小企業」なんですよ。私が小学生になる直前に父が
起業したので、その大変さは肌身で感じていました。ですので、中小企業
のサポートができるというのはいいなぁと。
MP:なるほど。資格をとったあと、お父様からのご相談があったりとかしましたか?
米倉:ありますよ。父から相談の電話がかかってきたりしますね。嬉しいですね。
MP:いい関係ですね。ところで、学習開始後は、いかがでしたか?
米倉さんは、初学でストレート合格でしたよね。
-受験期間中のこと・学習方法
米倉:そうですね。以前から、IT系の資格はかなり取っていたので、そういう点では
勉強グセはあったと思います。その経験から、勉強することをいかに習慣に
できるか、がポイントではないかと考えています。
MP:私のなかで印象に残っているのは、いつもパソコンでノートをとっていらっしゃった
ということなんですよね。
米倉:あ、そうでしたよね(笑)
(←ノートパソコンの画面はこんな感じ・・・)
ノートパソコンに、とにかく全部打ち込んでましたね。講師の冗談や雑談も、
ほとんど全部。そういう空気感も含めて記録することで、記憶の定着が進む感じ
はありますね。データ入力することで、検索や編集がしやすいというメリットも
ありますよね。当時は、ビデオ補講ではなくて、たしかカセットテープに収録されて
いたので、それを聞いたりしていました。もちろんデジタルデータに変換して・・・。
MP:そうでしたね・・・(笑)
私自身は、余談で話したことを忘れているけれど、米倉さんのパソコンには記録
されているってこともあるんでしょうね。
米倉:おそらく(笑)ただ、これは、私のやり方なので、いろんな意見があるとは思うん
ですよね。手書きしたほうがいいという意見もあるでしょうし・・・。
いずれにしても、自分に合った方法を見つけることが大事だと思います。
MP:ところで、当時、かなり忙しくなさっていたと思うのですが、勉強時間の確保は
どうなさっていましたか?
米倉:そうですね。たしかに出張も多かったし忙しかったですね。だいたい仕事の終わり
が12時、1時。10時に終わったら早いなという感じでした。そんな感じなので、
夜は、勉強時間を確保できないので、基本的に勉強は朝でしたね。
早めに会社近くのコーヒーショップに行って、勉強していました。
MP:始業時間は、何時ですか?
米倉:9時です。ですので、5~6時くらいに起きて、7時頃にコーヒーショップに行く。
そうすると、始業時間までの1時間半~2時間は勉強ができますから。
あとは、出張の移動時間は勉強にあてていましたね。ちょうどシリコンバレーに
出張する機会がありまして、その飛行機のなかでもずっとマンパワーのテキストを
読んでいましたよ。
MP:2次試験対策は、いかがでしたか?
米倉:そのころ、一次試験受験時よりさらに忙しくなっていまして・・・。
朝4時に帰って、6時起き、という感じでしたね。問題をじっくり解いている時間は
ほとんどなかったので、過去問をひたすら読み込むという感じでした。
ただ、今にして思えば、診断士の勉強を始める前から論理思考やロジカル
シンキングの本を読んでいたので、その蓄積もあったかもしれませんね。
MP:プログラマーだったというのも関係していますか?
米倉:そうですね。プログラムは、論理的に筋がとおっていないと動きませんからね(笑)
話が飛びますけど、プログラマーって理工系の人が多いと思われがちですが、
実は、文系的な能力も求められる仕事なんです。そもそもプログラム「言語」と
いいますよね。プログラマーの世界では、もちろん正確に動くプログラムなのは
大前提ですが、文法のキレイさというか、美しいプログラムを書く人が
尊敬されます。
MP:なるほど・・・言語っていいますね。
あれ?たしか、2次試験のとき、寝過ごしそうだったとか、なんとか・・・の話をされて
いませんでした?
米倉:そうそう。2次試験の直前1週間は、会社に寝袋を持ち込んで仕事をしているような
感じだったんですよ。本試験当日もあまりに眠かったので、試験会場の近くに
会社があったので、昼休みに会社に戻ってソファで寝ていたんです。
で、ハッと起きたらギリギリで・・・。
あのとき、目が覚めていなかったらと思うと、ゾッとしますね(笑)
MP:良かったですねー(笑)
米倉:そうなんですよ。ストレート合格していなかったら、翌年、同じペースで勉強を続け
られていなかったと思うのです。何年も続けるのは、さすがにキツイ。
MP:そうですよね。お話を聞く限り、仕事以外の時間をかなり試験勉強に投入されたと
いう印象を受けますね。まさに短期集中でのストレート合格でしたね。
-資格取得後について
MP:資格取得後にコンサルティング会社に転職されて、その後、独立の形ですよね。
そのあたりのお話をお聞かせいただけますか?
米倉:そうですね。診断士登録が平成18年(2006年)4月だったのですが、12月まで勤務
して、年明けの1月からコンサル会社へ移りました。そちらでは、再生案件が中心
でしたので、IT関係の会社とはまた違った仕事の進め方で勉強になりましたね。
約2年半、勤務したあと、独立しました。
MP:受験生のなかには、独立を考えている人もいらっしゃると思いますが、独立の
キッカケやご家族の反応はいかがでしたか?
米倉:そうですね。独立したキッカケは、特に何があったということでもないのです。
ふと、そろそろかな・・・という感覚がありまして。ただ、先ほどもお話をしたように、
父も起業していますし、親戚にも経営者が多くて、会社員の方が少ない家系
なのです。独立すると言ったときにも、むしろ遅かったんじゃないの?と
いわれたくらいで・・・(笑)
MP:なるほど(笑)。ということは、反対はなかった?
米倉:そうですね。そういう点では、独立することは自然な流れだったように思いますね。
MP:独立後の活動は、どのようになさっていますか?
米倉:支援機関がらみでは、ものづくり支援コーディネーターや、専門家派遣などの仕事
が入ってきています。その他に、IT企業の技術アドバイザー的な契約をして
います。ほかにも、同世代の独立している診断士と一緒にいろいろ面白い企画を
やっております。独立したことで、時間や場所に縛られない働き方が出来るように
なって、それは自分に合っていると感じています。
-今後のこと
MP:最後に、今後の活動の方向性などについてお話いただけますか?
米倉:そうですね。自分の強いところ、ITの技術に強いという点は活かして、IT関連を
メインとしてコンサルティングしていけたら・・・と考えています。あと、地域振興
にも関心をもっています。私自身、生まれは福岡ですが、小学生の頃に父の
実家の五島に引っ越しているので、五島出身者としては、やはり地方の過疎化
は気になりますね。地域振興支援においても、IT活用の重要性が高まると
考えています。
MP:ありがとうございました。ますますのご活躍を楽しみにしております。
(インタビュー:2010年6月10日 年齢、肩書き等は、インタビュー当時のものです。)
■インタビューを終えて
今回は、独立診断士の米倉博彦さんにご登場いただきました。
受験生の方には時間活用のお話などもご参考にしていただけることと思います。
独立したことで自分らしい働き方ができるようになった、とおっしゃっていたのが
印象的でした。今後は、IT系企業での経験を活かして、“IT技術に強い診断士”
としてご活躍されることでしょうね。
インタビューには掲載しておりませんが、ご購入されたiPadのお話やTwitterの
ことでも、かなり興味深いお話を聞かせていただきました。