安易な業界批判はできなくなる。

個人事業主で、ほぼひとりを仕事をしていた時代があった。
特にはじめのころは、お客さんに教えてもらうことが多かったように思う。

時が経ち、ある程度経験を積んできたら、
今度は一緒に仕事をする人達から学ぶことが多くなった。

商工会・商工会議所の職員と同行すれば、
中小企業に寄り添う彼らの支援手法や
行政との付き合い方を学ぶことができた。

自治体の職員や銀行員と同行すれば、
彼らが持つ、動かしようのない制約条件と、その中でなんとか
中小企業のためになることをしようという
情熱を見ることができた。

メーカーや商社の営業に同行すれば、営業経験のない自分にとって、
とても有益な営業テクニックを実地で学ぶことができた。

税理士や弁護士などの士業に同行すれば、
自分とはまったく違う法的な視点からのビジネスへの
アプローチが私の思考の幅を広げてくれた。

従業員を雇えば、自分のやり方の非効率な点、
改善方法などを教えてくれた。
また、自分が苦手な部分をサポートしてくれ、
自分とともに成功を喜び、失敗を悲しんでくれた。

自分と付き合ってくれた人達から、
そのエッセンスの一部を吸収し、自分の糧とすることで、
今の自分があると思う。本当にありがとうございます。

安易な業界批判はできなくなる

その業界の人と一緒に仕事をすれば、もう二度とその業界や属する個人を安易に批判できない。
それは仲が良くなったから批判しにくくなったというような、情けない話ではない。
彼らの抱える「制約条件」を理解してしまったから、安易に批判できなくなるのだ。

人は自身が所属するシステム(組織やルール)に縛られる。その中で考えざるを得ない。
そのシステムを知ってしまえば「なら、そう発言せざるを得ないな」というのが予想できてしまう。
そう言わせているのは人ではなく、人を縛り付けるシステムなのだ。

一時期消費税の軽減税率に対する不可解な仕組みに財務省を批判する話題があったが、
政治家が軽減税率を決めて、それを覆えすことができず、かつ過去の法律との整合性を取らねばならないとしたら、
あれがきっと最善の方法だったのだろう。
もし自分が担当者でも、きっとそうせざるを得なかったはずだ。それが喩え可笑しな話だったとしても。

なので、いろいろな業界の人と付き合い、彼らの裏で動いている「システム」をできるだけ知りたい。
そうすれば安易な批判に乗ることもないし、より適切なコンサルティングができるようになるだろうから。

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