「7割の法人が法人税を払っていない」と
よく言います。これは国税庁が毎年発表している
資料「法人税の申告事績の概要」からも明らかです。
[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/about/organization/takamatsu/release/hodo/hodo_29/hojin_shinkoku/index.htm”]
ただし、「赤字の会社が7割」という意味ではありません。
あくまで、「法人税を払っていない会社が7割」です。
繰越欠損金控除の存在
先の資料にはこうあります。
黒字申告割合は30.9%と、
前年度に比べ、1.5ポイント増加し、
7年連続の上昇となりました。また、単年度の業績を示す
繰越欠損金控除前の
黒字申告割合も57.0%
(前年対比0.8ポイント増加)と、
6年連続で50%を上回っています。(注)繰越欠損金控除前の黒字申告割合とは、
過年度から繰り越された欠損金等を控除する前の
所得金額が黒字法人の割合を示します。
法人は、過去の赤字分を「繰越欠損金」としてプールしておき、
黒字が発生した際に、過去の赤字分で今期の黒字分を相殺することができます。
#個人事業主でも、青色申告をしていれば同様の制度が使えます。
平成28年度の実績を見ると、
黒字申告割合は30.9%、つまりその逆、69.1%の会社は赤字で申告し、
法人税を払っていないわけです。
しかし、これはあくまで
過去の赤字分による繰越欠損金控除を
行った結果「赤字」になったケースを含んだ割合です。
繰越欠損金控除前の黒字申告割合は、
国税庁の発表にあるように57%。
つまり、6割弱の企業は単年度で
黒字を実現しているわけです。
発表された数字がどのように算出されているのか、
繰越欠損金の控除前後で、その見え方は大きく変わります。