今、自分はどの程度の「時間軸」で話しているのか?
これを擦り合わせていない議論をしたところで、分かり合えるはずもない。
今、二人の人間が将来の打ち手について議論しているとする。
一人は「短期」を、来週くらいだと認識している。
いっぽうもう一人は「短期」とは数ヶ月だと認識している。
お互いに考えるところは同じなのに、これでは議論が噛み合うわけがない。
それどころか誤解のまま議論が終わってしまうだろう。
諸行無常というが、時間が経てば全てが変わってしまう。
変わらないものの方が珍しいくらいだ。
自分が今この瞬間に選んだ選択肢はあくまで現時点での最適であって、
時間が経ち周囲の状況が変われば、それはもうベストの選択肢とは言えなくなる。
それでも人は、前言を翻して「変節漢」と呼ばれることを嫌う。
それくらいなら一度決めた方針に殉じた方がいいとすら思う。
これはたぶん進化の過程で人が身につけた「仕草」なのだろう、
合理的に考えれば意見を変えるべきところを、心の奥の何かが、それを全力で妨げようとする。