目に見えるもの、見えないもの

氷山の下

長く経営コンサルタントなんて仕事をしていると、どんなものごとも、目に見えているのは本当に一部分だなということがよくわかる。

ものごとは氷山のようなものだ。
海面に浮き出ている部分だけ見ると、とても小さい。しかし、その下には大きな氷の塊がある。しかし目には見えない。
クライアントが言っていること、行動はいわばこの氷山の目に見える部分。
実際にはその下に価値観であったり従来のやり方だったり、もしかしたら偏見だったり、発言や行動の基となるものが沈んでいる。

決算書もそうだ。
まだ駆け出しの、中小企業診断士資格を取ったばかりの素人のころは決算書分析で全てがわかると思っていた。
現実にはそんなことはなく、決算書はある程度(合法的に)操作できるものだし、申告書まで、もっと言えば仕訳レベルまで深掘りして見るとまた違った企業の姿が見えてくる。

目に見える氷山の部分を改善したとしても、その下に沈んでいるものは微動だにしない。結果、いつの間にか元の木阿弥に戻ってしまう。

業務改善コンサルティングで企業に入る場合は、この氷山の沈んでいる部分を把握し、そこから動かしていかないと意味が無い。
#システム思考という手法が有効なのだが、その説明はまた別の機会に。

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。だいじなことは、目では見えないんだ。
It is only with the heart that one can see rightly,what is essential is invisible to the eye
「星の王子様」サン・テグジュペリ

「おれは自分の眼で見たものしか信じない」と主張する方は、氷山の上部だけ見て判断してはいないだろうか?
サン・テグジュペリが言うように、ほんとうにだいじなものは目には見えないのだ。

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