(前回からのつづき)詭弁その1〜多数論証、同情論証
誤った二分法
例:「いまの事業はもうジリ貧だ。新事業を成功させなければ、会社は倒産するだろう」
例:「いまの事業はもうジリ貧だ。新事業を成功させなければ、会社は倒産するだろう」
経営者がこのような発言をすることはよくある。
しかし実際に話を聞いてみると、既存の事業に改善の余地があったり、もっと成功する可能性がある別の新事業を見落としていたりすることがままある。
誤った二分法で選択を迫られたときは、本当に二つだけか?三つ目の案がないか?と考える癖をつけると、簡単に騙されることはなくなる。
権威論証(芸能人のCさんもお勧め!)
例:「製品Dはすばらしい商品です、芸能人のCさんも愛用しています。」
例:「製品Dはすばらしい商品です、芸能人のCさんも愛用しています。」
芸能人のCさんはその製品の専門家ではないし、自分と趣味・嗜好が合うかも分からない。
テレビのコメンテーターはなにがしかの専門家で有ることが多いが、専門外のことについても発言し、それが的外れな意見でも視聴者の信頼を得ることができる。
同じ様に、有名な学者やスポーツマンだからといって彼らの言うことが全て正しい訳ではない。
コンサルタントとしての考え方
コンサルタント自身が誤った二分法を使ってはいけない。
あらゆるパターンを想定して、意味のない・効果の薄い選択肢を切り捨てた上で、結果として提示する選択肢が二つになるのは構わない。
しかし、「改革か衰退か」「敵か味方か」といった単純な二分法でクライアントの目を曇らせてはいけない。
権威論証はロジカルな説明を大幅に省略することができる。「有名な経営者の○○がこう言った」「中国古典に○○とある」といった言い方もひとつの権威論証だ。
名言や箴言というのは、探せばたいてい逆の意味のものが見つかるものだ。
名言・箴言はあくまでロジカルに考え抜いた結果出てきた提案を相手に説明する際のひとつのテクニックであり、思考を省略するために使ってはいけない。