仕事をするというのは、「誰かを説得する」ことでもある。
経営者も営業も、経理でさえも、誰かを説得するために議論し、資料を作り、数字を使っている。
議論をしていて「あれ?何かおかしいぞ?」と思うことがある。
そんなときは、相手が詭弁を使ってあなたを丸め込もうとしている可能性がある。
正しい議論をするためには、詭弁に関する知識が欠かせない。
詭弁とは
詭弁(きべん)とは、議論を有利に進めるために、わざと間違った論理展開を使うことである。また、本人の知識不足や勘違いにより、偶然「詭弁のようなもの」を使ってしまうこともある。
詭弁の種類
詭弁についてはギリシャ・ローマの昔から様々な学者が研究しており、体系的にまとめられている。ここではその中でも、比較的理解しやすいものについて紹介する。
1)多数論証(多数決は常に正しい)
例:「A君は生命保険に入るべきだ、皆そうしている。」
例:「A君は生命保険に入るべきだ、皆そうしている。」
日常生活でもよく使われるタイプの詭弁。子どもがおもちゃを欲しい時にこのような発言をすることがある。
実際は、皆がそうしているからといってA君がしなければならないかどうかは判断できない。
また、ここでいう「皆」とは100%だろうか?そうではないだろう。
A君の事情をしっかりと検討した上で生命保険に入るべきかどうか考えないといけない。
2)同情論証(もうその辺にしておけ)
例:「B君は確かに大きなミスをしたが、もうその辺でやめてやれ、B君がかわいそうだ」
例:「B君は確かに大きなミスをしたが、もうその辺でやめてやれ、B君がかわいそうだ」
かわいそうか、かわいそうではないかを議論しているのではないのであるが、こう言われてしまうとB君を責めることができなくなるだろう。
本当は、B君のミスの内容をしっかりと分析し次に活かすことや、B君を責めるその口調や内容が妥当かどうかが問われるべきなのに、「うん、たしかにA君がかわいそうだ」という空気になってすべてが曖昧に終わってしまう。
コンサルタントとしての考え方
コンサルタントが多数論証(他のクライアント様もそうしています)や、同情論証(取引先のC社が可哀想なので、これ以上仕入れ価格を下げさせるのはやめておきましょう)などと言ってはいけない。
こうやって文章に書くと「当たり前」なのだけれど、普段から気をつけていないと容易にこの罠にはまってしまう。自戒したいものだ。