断言レベル

断言はできない。その分野に詳しくなればなるほど、断言できることなどごく僅かだと気づく。
詳しくない分野なら、尚更断言できない。知識がないのだから。

誠実な姿勢をとるならば、冒頭に「いろんな考え方があるとは思いますが」とか、
語尾に「(私はそう)思います」とかつけるべきなのだが、そうしてしまうと自信がないように見えてしまう。

では不確かなことでも断言した方がいいのか。商売的には、もしくは他者を統率するためには、そうした方がいい。
人は明快な回答を求める。「Aもあるが、Bもあり得る、Cの可能性も残る」という回答は喜ばれない。

ところが、下手に断言してしまうと、それを正当化するためにその後に誠実な発言ができにくくなってしまう。
Aと断言したのに、Aを否定する確度の高い説が後から出てきたとする。
断言してなければ、「新しい説が出たね」と、Bに乗り換えることは簡単だ。
ところがAと断言したばかりに、安易にBに乗り換えることはできなくなる。
結果、自分でも無理筋だとわかっていても「その説には欠陥がある!Aは依然として正しいのだ」と叫ばざるを得ない。

何事も断言しない方が、その都度都度に応じて誠実な態度で人生に向き合える。
ところが、そのような人間は信頼されないし、人の上には立てない。
このジレンマの中でずっと生きている。

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