昔の話だし、少し脚色している。
社長仲間と飲みに行く機会があった。彼は新しい事業を始めたばかりだが、
聞く限りではあまりうまくいってはいないようだった。
新事業がうまくいきそうなたくさんの理由を喋ったのち、彼は言った。
「俺、間違ってないよな?」
確かに間違っていなかった。個別の施策は王道のやり方と言って良かったし、
しっかりとしたビジネスモデルだと感心した。
ただ、それでも、成功は約束できない。誰にも。
素晴らしいビジネスモデルを掲げて失敗した会社もあるし、
やる気と勢いだけで大成功した会社もある。
良い時期に良い人に出会ったせいで成長した会社も、
逆にまずい時期に悪い人に捕まってしまい潰れた会社も、ある。
「間違った方向へ全力疾走」する人もいれば、「正しい方向へノロノロ歩く」人もいる。
「正しい方向」が途中で変わることも、しょっちゅうある。
自分がやっていることが正しいと信じたい、だから誰かに確認する、自分が間違ってないことを。
私もそうだし、世の中の社長のほとんどはそんな気持ちになることがあるだろう、自分に自信がなくなる時が。
自分が今やっていることは「間違ってはいないが、成功はしない」やり方なのかもしれない。
だとしたら、「間違っていない」ことを誰かに保証してもらったとしても、なんの役にも立たない。
目的は「間違わない」ことではないのだから。