反論の「質」を7段階で評価する

職場でも趣味の集まりでも、
自分の意見を主張すれば、
何らかの反論を受ける可能性がある。

上司から、同僚から、はたまた妻や子どもから・・・
反論を恐れて何も言わない訳にはいかない。
今回は、対応すべき「良い反論」と、
無視しても構わない「悪い反論」を
見分ける方法について述べる。

「良い反論」と「悪い反論」

「他者の意見には真摯に耳をかたむけるべきだ」
と言う言葉は、半分は真実で、
あと半分は真っ赤な嘘だ。

正直、聞く価値のない意見、
聞けばますます状況が悪化する意見
というのも世の中には存在する。

反論も同じで、良い反論と悪い反論がある。
これを見分けるための方法として、
天才プログラマーだったポール・グレアムが
2008年に主張したのが「反論ヒエラルキー」だ。

反論レベルの7段階

彼によれば、反論には7つの段階がある。

  1. 反論レベル1:単なる罵倒
    反論のなかでももっとも質の悪いもの。
    ただ、もっとも頻繁に見られる反論でもある。
    たとえば「この低脳が!!」と怒鳴る上司などがそうだ。
    ただただ感情的に反応しているだけで、
    何ら建設的な意見を言っていない。
    このような反論は、完全に無視していいだろう。

    少し表現力のある人であれば、
    たとえば「あなたは少し考えが足りないのではないでしょうか?」
    のようにもったいぶった表現をするかもしれない。
    結局言っていることは同じで、単なる罵倒でしかない。

  2. 反論レベル2:人格攻撃
    「彼は普段仕事ができないから、会議で言っていることも信用できない」
    「彼は営業部だから自部門の利益を考えてそんなことを言うのだ」
    というような反論は、人格攻撃であり反論としてはとても弱い。

    主張の内容自体に反論すべきであって、
    彼が普段仕事で有能かどうかや、
    営業部かどうかは何も関係がない。
    「彼は専門ではないのでこの件に関して発言する資格がない」
    というのも、ある種の人格攻撃だ。
    専門知識がなくて間違ったことを言っているのであれば
    その間違いを指摘してあげれば良いし、
    間違ってないことを言っているのであれば、
    資格があるかどうかに関わらずその意見を聞くべきだろう。

  3. 反論レベル3:言い方批判
    「そんなきつい言い方はないだろう」と、
    主張ではなくその表現方法に対して反論する人もいる。
    罵倒や人格攻撃と同様、何の反論にもなっていないのだが。

    彼らは言い方をやわらかくしたら、
    話を聞いてくれるのだろうか?
    たぶん罵倒か人格攻撃に反論を切り替えるだけではないだろうか。
    要は言い方くらいしか批判が思いつかないのだ。

  4. 反論レベル4:単純否定
    「そんなことはあり得ない」「話にならない」「常識だ」
    などと言うだけで、その理由を何ら示さない反論。
    「これが良いデザイン?私は悪いと思う」のように、
    自分の感情だけで反論するのもこのケースにあたる。

    デザインの一般的なルールに対して
    何がおかしいのかを指摘するべきなのに、
    自分の趣味で「悪い」と感想を述べているだけだ。

  5. 反論レベル5:反論の提示
    レベル5以上でやっとまともに対応すべき「良い反論」にたどり着く。
    反対の理由をしっかりと述べる。
    そうすれば、話し手も再反論ができるから有益な議論になるのだ。

    ただし、このレベルでは理由の信憑性が怪しいこともある。
    「UFOはたしかに存在する、なぜなら私がこの目で見たし、
    友人達も見たことがあると言っている。
    オカルト雑誌でも特集が組まれている」といったように、
    曖昧で科学的でない理由でもいちおう反論にはなり得るからだ。

  6. 反論レベル6:主張の一部が間違っていることの説明
    相手の言っていることを引用しながら、どこが間違っているのかを指摘する。
    「いまあなたはダーウィンの発言を引用したが、
    そんなことをダーウィンが言ったという証拠はない」など、
    主張の間違っていることをたしかに指摘してはいるのだけれど、
    本題と関係のない重箱の隅をつつくような反論になってしまい、
    議論が迷走することもある。

  7. 反論レベル7:主張の本題が間違っていることの説明
    完璧な反論のかたち。
    相手の主張の核となる部分を指摘して、
    それに対して適切な理由を出して反論する。
    「あなたの話の本題は〜だと思う。しかしそれは間違っている、なぜなら〜」
    という言い方になる。

反論が聞こえてこないのは、良いことではない

あなたに聞こえてくる反論は、どのレベルだっただろうか?
レベル4以下の反論であれば、「それは反論になってない」と、
やんわりと指摘してあげた方が良いだろう。

#あなたの上司がそのようなレベルの低い反論をしてくるのであれば、
#指摘するのは難しいかもしれないが・・・・

もし、自分の意見に対して誰も何も反論してこないことを
もって「自分の考え方は反論の余地がない、素晴らしいものだ」と
思っているのであれば、それはきっと間違っている。

周囲はあなたが感情的に反発することが怖くて反論できないのか、
もしくは反論しても自分の意見を曲げないあなたに
「何を言っても無駄」と諦めているのかも知れない。

「裸の王様」になりたくなければ、
良い反論(レベル5〜7)に関しては素直に聴き、
必要に応じて自分の意見を修正する度量の広さを持たなければならない。
もちろん、罵倒(レベル1)や人格攻撃(レベル2)、
言い方批判(レベル3)や単純否定(レベル4)のような
悪い反論は完全に無視して構わない。

正しい反論に対処することは、
自分の思考のレベルを上げることに繋がる。
変なプライドがあるならそれは捨てて、
「良い反論」を受け入れてはいかがだろうか。


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