組織の活動を「停滞」させる方法。
皆が知りたいのは「停滞」ではなく「促進」させる方法だとは思うが、今回書いてあることの真逆の活動をすればよいわけだ。
第二次世界大戦中に作られた「サボタージュ・マニュアル」をネタ本として、組織の活動を停滞させる方法を(逆説的に)学ぶことができる。
OSSとは、サボタージュ・マニュアルとは
サボタージュ・マニュアルとは、OSS(米国戦略情報局、CIAの前身)によって1944年に作られた、一般市民向けの抵抗活動支援の手引きだ。
専門のスパイではない一般人が、「ちょっとした工夫」をすることで、組織を混乱させる方法について書かれている。
マニュアルは60ページにも満たず、簡単に読むことができる。なかでも面白いのは11章「組織や生産に対する一般的な妨害」の(a)「組織や会議」についての項目だ。
この項目はネットでもよく紹介され、「うちの組織がまさにそうだ」との共感?諦観?を集めている。
サボタージュ・マニュアル 11(a) 組織や会議
紹介されている項目はこのようなものだ。
- 何ごとをするにも「決められた手順」を踏んでしなければならないと主張せよ。迅速な決断をするための簡略した手続きを認めるな。
- 「演説」せよ。できるだけ頻繁に、延々と話せ。長い逸話や個人的な経験を持ちだして、自分の「論点」を説明せよ。適宜「愛国心」に満ちた話を入れることをためらうな。
- 可能なところでは「さらなる調査と検討」のためにすべての事柄を委員会に委ねろ。委員会はできるだけ大人数とせよ(けっして5人以下にしてはならない)。
- できるだけ頻繁に無関係な話題を持ち出せ。
- 通信、議事録、決議の細かい言い回しをめぐって議論せよ。
- 以前の会議で決議されたことを再び持ち出し、その妥当性をめぐる議論を再開せよ。
- 「用心深く」するように主張せよ。「合理的」になれ。他の会議出席者にも「合理的」になるように要請せよ。後に恥をかいたり、問題となるような軽率さを避けなければならない、と。
70年以上前のマニュアルが今でも有効
どうだろうか?自分の組織の現状を憂いて、ちょっと落ち込んだ方も居るのではないだろうか。
ちなみにこのマニュアルにはこの後「(b)管理職・スーパーバイザー(顧問)」「(c)事務員」「(d)従業員」と続く。興味のある方は関連書籍を読んでみることをお勧めする。
70年以上前に作られたマニュアルが、技術の進歩に併せた若干の修正は必要なものの、ほぼそのままの内容で現代人のも共感できるというのは面白い。
人間の、組織の本質はあまり進歩していないのかもしれない。
サボタージュ・マニュアルの真逆の行動を取れば、組織は活性化するはずだ。
まあ、それができるかどうかは、また別の問題なのだけれど。