大人には二つのタイプがあって、ひとつは進んで大人になった大人で、
もうひとつは子どもじゃなくなったために大人としか名乗れなくなった大人ーー保坂和志「人生を感じる瞬間」76pより
自分はどうだろうか?後者のように思う。
今の自分の身の回りにあるものを見渡しても、学生時代とさほど変わらない。全然成長していない。
(大人になったことで、それぞれの物品のグレードが良くなったりはしているが)
50に手が届こうというおっさんが子どものようなことを言うわけにはいかないし、
私の場合は経営者としての役割まで背負っている。なので、大人として振る舞っている。
冒頭の引用への反論になってしまうが、そもそも大人に「なる」と言うのが間違っていて、
みな単に成長するにつれて大人の仮面を被るだけなのではないか。
ふとした拍子に仮面がずれたり剥がれたりすれば、そこには子どものような澄んだ目をした(あるいは、捻くれた笑いの)その人が居るのではないだろうか。
仮面を取り付けている紐の強さは人それぞれだろう。なかには接着剤で固定している人もいるのかもしれない。
仮面を外せる相手なり場所なり趣味なりが人生にあるとしたら、それは幸せなことなのだと思う。