それぞれの見方、参照点の違い

先日こんなことがあった。

ある企業(便宜上A社とする)から連絡があり、打合せを行った。
事業提携の相談だった。
当社の料金の話をするとこう言われた。

「いくつかの企業に同様の提携を打診していますが、
 非常に良心的な値段ですね、大丈夫ですか?」

また、やはり既に提携済みの企業(B社)からこう言われたこともある。

「いくらなんでも安すぎやしませんか、
 もっと値上げした方がいいですよ!」

一方、こうも言われたことがある。
これはとある中小企業の社長(C社長、D社長)から。

C:「ぼったくりだ!作業量に対して価格が釣り合わない。
 時給いくら取るつもりなんだ!!」

D:「原価ゼロなのにそんなに取るのか、儲かって仕方がないでしょう?」

4人の意見を紹介したが、全て提示したのはまったく同じ価格だ。
なぜこうも意見が違うのか。4人は参照点が異なるからだ。
A社は、いくつかのコンサル会社を比較検討して、このサービスの「相場感」がわかっていた故に、当社の価格が良心的であると思った。
B社は、普段自社がさらに高額のフィーを取るビジネスをしているし、専門家の仕事の「価値」もよくわかっているので、安すぎるのではないかと思った。
C社長は、普段時間給で仕事を請けているのだろう、当社の作業量から時間を類推し、ぼったくりだと思った。
#時間給ではなく、そこまで当社が蓄積したノウハウを評価して欲しいものだが
D社長は、製造業で原価管理をいつも気にしているのだろう、コンサルの仕事が原価ゼロなのになぜそんなに、と思った。
#会計的には原価ゼロだが、人件費や資料購入費、外部の調査会社を使う費用などがかかるのだけれど

皆、自分が持っている限定された情報を基準にして価格が高いか安いかを判断している。
右顧左眄する必要はなく、自分が自信を持って設定した価格を提示すればよい。

関連記事

  1. 山善様主催のセミナーで講師を務めました

  2. 会議の最後、合意の取り方

  3. 情報の鮮度

  4. 野生動物/草原で独り

  5. それは本当に「話すべきこと」か?

  6. お金を稼ぐ

    コンサルタントは「同伴者」ではない。

最近の記事

  1. 2025.05.22

    東国三社詣り
  2. 2025.05.12

    二階派
  3. 2025.05.09

    般若心経

読書記録(ブクログ)