先日、士業である知人と食事をする機会があった。
彼の属する業界は、最近資格保有者の増加と平均年収の減少がよく話題になるが、
彼のビジネスにはまったく影響がなく、安定した高収益を上げている。
彼曰く、「経営の本に書いてあることをそのままやったら効果が出て、同業者と差別化できた」
詳しく聞けば、彼がやったことは経営の本であればどれにも書いてあるような王道のマーケティング施策だ。
当たり前のことをやる
なに、難しい話ではない。本屋に行き、経営学の本をひとつ購入する。
読書経験の豊富な方なら、いわゆる名著を手に取ればよい。
そうでない方は、入門書を求める。
その本に書いてあることを、そのまま実行すればいい。
それだけで同業者から抜きん出ることができる。
なぜなら、それすらやってない人がほとんどなのだから。
人は「当たり前のことを当たり前にやる」行為を軽く見る。馬鹿にすらしてしまう。
どこかに簡単に物事を解決する魔法のような手段があると思い、「私はその方法を見つけた」と主張するコンサルを探す。
たいていのことは、2千円も出せば買える本に答えが書いてあるのにも関わらず。
翻ってわが業界は
経営コンサルタントの国家資格であるわれわれ中小企業診断士こそ、
経営の本に書いてあることを自然に実行できていなければならない。
先日、福岡県中小企業診断士協会から会員名簿が届いた。リストを眺めると、独立している診断士のなかで
自分ないし自社のHPを持っているのは名簿全体の約3割。
「医者の不養生」「紺屋の白袴」という諺が身に染みる。もうすこしどうにかならないものか。