数字は比較してこそ意味がある

経営に関するいろいろな数字。単体で見ても、それは単なる数字。
何かと比較してこそ、その意味がある。

比較の方法は大きくわけると3つ。

  1. 時系列で比較する
  2. 過去3年分の比較、翌年以降5ヵ年比較など、時系列で出てくるデータを比較する。
    どれくらいの期間を比較するかでそのデータから読み取れることが変わってくる。
    たとえば、3期比較ではゆるやかに下降している売上が、10期を比較してみると、過去7年は大幅に上昇してきたがここ3期「だけ」下降していることがわかるなど。

  3. 他社と比較する
  4. 同業他社、できればライバル会社の数字と比較する。
    ライバル社の決算書データを入手することは難しいが、小売であれば来客数や商品点数、サービス業なら価格表やサービス内容などは外部からでもある程度調査することが可能だ。
    会社の規模が違ったり、ビジネスモデルが違う(例えば、ライバル会社はキャッシュリッチな別事業も運営しており、本事業での赤字をほぼ無限に補填できるなど)場合、比較の意味がなくなるので、前提をある程度揃えることが重要。

  5. 平均値と比較する
  6. 業界平均のデータを入手し比較する。無料のデータもあるけれど、有料のものの方が詳細な情報が得られる。
    業界平均から当社がどれくらい乖離しているかがわかり、改善の参考になる。しかし、データの中に外れ値(他社と比較して段違いに売上が高いなど)があると平均値が実態を表さなくなるので注意。

英語表現で、意味のない比較を “Apple to Orange”という。リンゴとオレンジを比べても、そのリンゴには他のリンゴと比較してどういう特徴があるのかは判らない。
(オレンジとの違いはわかるが、ここではそれを求めているわけではない)

比較する際には、少し上からの視点で「自分は何と何を比較しようとしているのか?、違うものを比較していないか?比較対象は適切なものか?」を自問自答することを忘れてはならない。
さもなくば、意味のない資料ができあがり、クライアントの突っ込みに対応できず大勢の聴衆の前で恥をかく、そんな事態を招くことになるだろう。

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