いつも何かに怯えている

経営者は自信満々に見える。
不安そうにしていたら従業員はついてこないし、客もつかない。
しかし、本当は何かに怯えている。いつだって。

それは不満を持ち、仕事をサボったり突然辞めたりする社員に怯えているのかもしれない。
社員から自分の方針に陰で不満を言われているかもしれないという予想(妄想)に怯えているのかもしれない。
無理難題をふっかけ、クレームをつけてくる顧客と交渉することに怯えているのかもしれない。
仕事が突然無くなってしまうかもという恐怖に怯えているのかもしれない。
大口を叩いてしまい、風呂敷を畳めるか不安になって怯えているのかもしれない。
働き方改革だ賃上げだ障害者雇用だと、営利企業にさまざまな制約を課してくる政治が次に何を言い出すのかと怯えているのかもしれない。

怯えているからと言って、自宅のベッドで丸くなって1日が終わるのをただじっと待つわけにはいかない。
抗うつ剤を飲みながら自分に鞭を入れて働いている経営者は、さほど珍しくはない。
ちなみに経営者の自殺率は、他よりも有意に高いらしい。
休め、と誰かから優しい言葉をかけられても、「じゃあ代わりに誰がこれをやってくれるっていうのだ」と思いながら、「そうもいかなくてね」と苦笑する。

常に何かに怯えながら、それでも虚勢を張って生きていく。
「独立したい」とか「経営者になりたい」と人から相談された時に、私はそれを単純にお勧めすることはできない。
正直、誰にとってもベストな選択だとは思えない。大企業のサラリーマンの方が向いている人が、世の中のほとんどだと思う。

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