仕事をしている時間の中で、「会議」にかける時間の割合は多い。
特に役職が上になればなるほど出席する会議の量は増える。
会議のコスト
会議のコストというのは目に見えにくいこともあり、
あまり真剣に考えている経営者は少ない。
しかし、積み重なればかなりのものになる(下図参照)。
また、見落とされがちだが、
会議をしなければその時間は別の仕事ができたはずであり、そのコストも大きい。
業務改善のコンサルティングも数多く手がけるなかでの個人的な感想だが、
企業で行われる会議の半分は不必要なものだと思っている。
会議の種類
いろいろな考え方があると思うのであくまで私の基準だが、
会議というのは「連絡会議」と「検討(意志決定)会議」に大きく分けられる。
連絡会議
連絡会議とは、定例で行われる会議などのことだ。
連絡会議はかつては組織内での情報共有のために必要なものだったが、
現代ではメールやSNS、グループウェアなどのITツールが発達したため、
わざわざ同じ時間に一つの場所に集まらなくても多くのことができる
ようになった。つまり、ITを駆使することで、連絡会議のほとんどは不必要になる。
検討会議
検討会議とは、組織として何かを意志決定するためのものであり、細かなコミュニケーションが求められる。
(メールやSNSでの会議を想像してみて欲しい)
こちらは連絡会議と違って省略することができない。
しかし、会議を効率化することはできる。
検討会議を効率化するための方法
筆者が企業にコンサルティングに入った際、
必ずといっていいほど行うのが会議の見直しである。
連絡会議は、ITを活用して極力ゼロにし、
検討会議は時間を短縮させるとともに密度の高い議論ができるように促す。
その際、以下のような取り組みを行う。
- 参加メンバーの絞り込み会議の参加メンバーの中には、所属する部署の都合や、
「念のため」といった理由で参加している方がいるので、彼らは会議に参加させない。
できるかぎり少人数で会議を行うようにする。会議で一回も発言しなかった方は、終了後に議事録を確認してもらえれば結果は同じなので、参加する必要はない。
むしろその時間は別の仕事をしてもらった方がよっぽど会社のためになるだろう。 - 資料の事前配布会議の資料は必ず前日、できれば前々日には参加メンバーに配布し、事前に目を通しておいてもらう。
よくある会議では、まず最初に配布資料の確認、その後、担当者が配付資料の内容について説明してから議論・・となるが、資料を事前配布して熟読を義務づけていれば、いきなり議論に入ることができる。
資料を読まずに会議に参加する方がいたら、厳しいようだが退席してもらおう。
彼のために資料の説明に時間を費やすのは時間の無駄だし、
会議も仕事の一部である以上、準備をせずに仕事にかかるという態度は改めてもらう必要がある。 - 議題を明確に議論が脱線することを防ぐためにも、議題を明確にしておく。
事前資料にも必ず「今日の議題は**で、案Aを採択するかについて検討する」と書いておく。
また、ホワイトボード等の皆が目にする箇所に「今日の議題:**」と大きく書いておくと、議論が脱線したときに参加メンバーがそのことに気づきやすい。議題の設定の仕方についてであるが、「**について検討する」といったものは辞めた方がいい。
議論が拡散しすぎて物事が決まらないからだ。
議題を設定する社員は、必ず「**について、案Aの方向で進めるかどうかを検討する」というように、何らかの案を提示すること。
明確な議論の参照点を設定することで、案Aを採択するにせよ否定するにせよ、議論がきちんと進む。 - ホワイトボードの活用御社の会議室にホワイトボードがないのであれば、いますぐ買うべきだ。
皆が下を向いて机の上の資料を見ながら議論するのと、皆が同じホワイトボードを見ながら、書記係が議題や意見、結論、アクションプラン(後述)を書きつつ議論するのでは効率と議論のレベルに雲泥の差が出る。また、会議終了後は、ホワイトボードを携帯のカメラで撮影して参加者に送付すれば、
簡単な議事録の代わりとして使えるので便利だ。 - プロジェクターの利用プロジェクターを使ってパソコンの画面を投影しながら議論を進めるのもよい。
議題に関連するホームページ、動画の資料、またワープロソフトを開いて参加者に確認してもらいながら議事録を作ることもできる。
もちろん、素早いキーボード入力ができる人が参加者の中にいることが条件だが・・・・ - 終了時間を決める会議は必ず終了時間を決め、それを厳守する。
キッチンタイマーのように、残り時間が明確にわかるものを会議室に置いてもよい。
仕事は何でもそうだが、締め切りが明確でないとだらだらと作業が進まない。
終了時間をあらかじめ決めることで、中身の濃い議論ができる。 - ネクストアクションを決める会議が終了したときには、必ず「誰が、何を、いつまでに」やるかを明確にしておく。
そして、決めたことがきちんと実行されているかを確認できる仕組みを作っておく。
実行確認の仕組みはITを利用して作った方が効率はいいだろう。
いままで筆者が見てきた会議では、「何をやるか」は決まったのに、
「誰が」や「いつまでに」が不明確なものが多かった。
きちんと意識しておかないと見落としがちなので注意して欲しい。
最後に
会議の結果、「やる」「やらない」ではなく、「今は決めない」という結論を出すことも、ひとつの意志決定である。
その場合は必ず再検討の時期を決めておかなければならない。
再検討の時期を決めないのであれば、それは「やらない」という意志決定とほぼ同じだ。勘違いしてはいけない。
会議を効率化できれば、仕事のスピードが劇的に上がる。
意志決定が早くなるし、無駄な会議が無くなることで空いた時間に別の仕事ができるからだ。
今回の記事を参考に、社内会議の見直しを検討してみてはいかがだろうか?