「強み」と言われてもピンとこないのなら「良い違い」を探す

SWOT分析

『御社の「強み」はなんですか?』

経営コンサルタントやウェブ事業者にこんな質問をされる経営者は多い。
「強み」って急に言われても・・というのが本音だと思う。

これらの業者が多用するフレームワーク(思考の枠組み)に、SWOT分析というのがある。
これは、「強み(S)」「弱み(W)」「機会(O)」「脅威(T)」の4つの視点から企業を分析する手法だ。

なので皆、御社の「強み」を聞こうとする。
単純にSWOTの最初が「S(強み)」だからそうしている。

中小企業診断士はいわば国家公認の経営コンサルタントであるが、
そんな私もいきなり見知らぬ人に「御社の強みは」と聞かれたら、逡巡するに違いない。

なぜか?
それは、ほんとうは強みを聞く前に確認すべきことがあるからだ。

誰に対しての強みなのか

強み・弱みは相対的なものだ。
対象が誰かでまったく逆になることすらある。
経営者であるあなたのコミュニケーション対象が、顧客なのか従業員なのか、はたまた妻なのかで、口調からなにから全部変わってしまうはずだ。

よって、いきなり「強み」を聞かれても回答できないのが当たり前だ。
誰に対する強みを聞いているのかを明確にしてもらわないと。

企業活動において、「誰」はほとんどの場合、顧客だろう。
ならば、どんな「顧客」をターゲットとしているのかを確認する。
性別は、年代は、社会階層は、居住地域は・・・
それが確定してから、はじめて「強み」を確認できるのだ。

強みでなく、「違い」を探す

個人的には「強み」という言葉がまずかったと思っている。
strengthの日本語訳なのだけれど、米国と本邦ではそのニュアンスが異なるのだろう。
強みと言われると、大層なものを想像してしまい「うちのような中小企業には強みなんてないよ・・」とネガティブな回答が返ってくる。

そこで、私の場合現場では強みではなく「違い」と考えてはどうだろうか?と提案している。
顧客が「誰」かは決まっている前提で、今度は競合他社を想像してもらう。

他社との比較のなかで、顧客に対して「良い」違いはなにかと考えてもらうのだ。
特定の、ニッチな顧客に対してなら、「大企業にだって負けない!」と胸を張って言える違いがあるはずだ、そしてそれが、社長も気づいていなかった自社の「強み」を知るきっかけになる。
「悪い」違いもあるかもしれない。これはきっと「弱み」に相当する。

これは結局「顧客」「自社」「他社」を比較するフレームワークである「3C分析」も同時にやっていることになる。
こうしたフレームワークのつながりを考えてみるのも興味深い。

ちなみにSWOT分析は、開発初期はSOFT分析と呼ばれていたそうです。

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