コナン・ドイルの小説「ボヘミアの醜聞」に、
シャーロック・ホームズがワトソン博士にこう説明する場面がある。
「だれだって無意識のうちに、
理屈に合うように現実を曲げるものさ。
理屈を現実に合わせる代わりにね」
自分の主張、価値観、理屈を変えるのはとても難しい。
これまでの積み重ねた人生を否定することになるからだ。
だったら現実を、正確には現実の解釈を曲げた方がいい。
情報を選択し、自分にとって都合のよい主張だけを集める。
不利な情報は、間違っているかそう主張している相手が無理解なのだと考える。
自分が「絶対に」正しいとしたら?間違っているのは現実に違いない。
論理的には当たり前の話だ。
#実は自分が絶対に正しいという前提が間違っているのだが・・・・
個人的には、大きく成功した人と、大きく失敗した人の両方が、この陥穽に陥ると思う。
前者は自分の成功を肯定するために、後者は、自分の失敗を認めたくないがために。
自分のことを客観的に見ることができれば、現実に合わせて理屈を変えることができるだろう。
もっとも、それが簡単にできないから、みな選択を誤ってしまうのだけれど。
#ちなみに、冒頭の引用セリフの作者であるコナン・ドイルは妖精の存在を信じていて、
#子どもが撮影したトリック写真を本物だと疑わなかったそうだ。
#当の作者自身が、理屈に合うように、現実を曲げてしまっていた。