報道を見ていると、自分が嫌いな団体や政党を庇うようなものが目立つ、と憤ったことはないだろうか?
面白いのは、同じ報道を見ていても、政権を擁護する人は「野党の主張ばかり取り上げている」と思うし、逆に政権に批判的な人は「与党に阿った報道ばかりだ」と捉えることだ。
この現象には「敵対的メディア認知」という名称がついている。
敵対的メディア認知 – Wikipedia
例えば、10段階で1が右翼、10が左翼と直線的に定義してみる。
もちろん実際にはそんなに単純ではないだろうけど、あくまで例としてだ。
右翼の人は世界は3程度であるべきだと思っている。なので、5レベルの情報に触れると、「左翼的すぎる」と考える。
左翼の人は全く逆だ。世界は7であるべきなのに、5とは!なんて右翼的なんだ、と。
基準点が異なるため、レベル5の中立な報道(これも怪しいが)に触れると、どちらも不満を抱いてしまう。
もう一つの要因がある。人は、ネガティブな情報を強く記憶する。
これは多分人間というか生物の特徴だろう、ネガティブな事象を認識して素早く対応しないと死んでしまうかもしれないのだから。
この二つの要因によって、(客観的な、少なくともそれを標榜した)報道を見るといつも不満が溜まることになる。
回避するためには、党派性の明らかな、つまり偏った情報ばかりに触れることだろう。
これにより自分の認識と同じレベルの報道ばかりが目に入るし、自陣営にとって不愉快な情報は入ってこない。
もし不愉快な情報があったとしても、解釈によりその不愉快さは弱められるか、全く逆にしてしまえる。
多様な情報に触れるべきだ、とは正論なのだけれど、
不愉快になってまでそうすべきかというのは、悩ましいところだ。
まして、それで自分の主張が変わることが(ほぼ)ないという実験結果もある。
反対意見を聞いたとしても、むしろ自分の主張を強化してしまうと。