叱るべきか、褒めるべきか?
ケース1:
A氏には小学生の子供がいる。
いつもは平均してテストで70点は取るその子供が、今回のテストでは50点だった。
A氏が子供を厳しく叱ったところ、翌月のテストでは70点と元に戻った。
「やはり厳しく叱ることは効果があるのだな」とA氏は考えた。
ケース2:
さらにその翌月、子供がテストで90点を取った。A氏は子供を褒め、お小遣いをあげた。
すると翌月のテストでは、子供は70点を取ってきた。
「褒めても逆効果だな、やはり子供は厳しくしつけなくては」とA氏は結論づけた。
さて、この話の何が間違っているだろうか?
文章で書くと、この話の「不自然さ」に気づくのは簡単なのだが、実際にこのような教育方法をとっている方もいると思う。
この現象は「平均への回帰」と呼ばれるものであって、どちらのケースでも子供の点数は例外的によくなったり悪くなったりした後、平均値(70点)に戻っただけである。
厳しく叱ったから点数が上がったわけでも、優しく褒めたから点数が下がったわけでもない。
まあ、そんな単純な行動ひとつで子供の頭が良くなるなら何の苦労もないだろう。
コンサルタントとしての考え方
同じように、例えば「お祓いをしてもらうことで体の痛みが和らいだ」のは、単に痛みが平均に回帰しただけかもしれない。
前期の当社の成績が抜群によかったのに今期がぱっとしないのは、従業員が弛んでいるからではなく、単に昨年が異常な数字だっただけで今年は平均に回帰しただけかもしれない。
営業成績が悪い!モチベーションアップの研修だ、営業プロセスの改善だと意気込むのではなく、平均への回帰の可能性がないかも検討しよう。
企業の経営資源は有限なので、効果の出ないポイントに投入してはいけない。