まずは下記の問題について考えて欲しい。
最近流行の病気がある。この病気に罹患する確率は0.1%とかなり少ないものの、罹患すればほぼ確実に死に到るという恐ろしいものだ。
検査手法はあり、病気の有無が正確に判定される確率は98%と非常に高い。
しかし、本当は病気でないのに「病気だ」と間違って判定される確率も1%ある。
あなたはこの検査で「陽性」が出た。もう諦めるしかないだろうか?
・・・どうだろうか?
98%の確率で判定されるのだから、もう死を覚悟する?それとも2%の可能性にすがる?
ここで重要になるのは「偽陽性」、つまり、本来は病気でないのに病気だと誤診されてしまう可能性だ。
人間は確率で考えるのが苦手だ。数をあてはめて考えてみよう。
検査を仮に100,000人の人が行ったとする。罹患率は0.1%なので、100人の人がこの病気にかかっていることとなる。
98%の人は正しく病気の有無がわかるので、この100人のうち98人はただしく?難病と診断される。
残りの2人は、本来は病気でないのに病気だと診断されたのだ。可哀想に。
難病ではない、残りの99,800人の人はどうだろうか?間違って判定される確率は1%だ。つまり、998人の人は「偽陽性」つまり、本来はこの病気でないのにも係わらず病気だと判定されてしまう。
この二つの数字を合計すると、98 + 998 = 1,096 となる。
うち、「陽性」つまり、本当に病気の人は98人なので、陽性の診断が出た人の中で本当に病気である確率は
98 ÷ 1,096 = 8.9%
陽性が出たとしても、本当に病気である確率は8.9%となる。逆に言えば、健康な確率は90%以上。
この確率なら、まだ生に絶望することはないのではないだろうか。
経営において「偽陽性」は見過ごされがち
さて、確率の話を長々としてきたのは、この考え方が経営にも当てはまると思ったからだ。
偽陽性に注意して間違った結論を導かないようにすることは、ある程度の知識を得てかつ実践で訓練を受けたものでないと難しい。
本当にもうだめなのだろうか?本来はまだ可能性があるのに、「ダメだ」と誤診されているのでは?
いまのままでいいのだろうか?実は崩壊が足元まで迫っているのに、「大丈夫」だと誤診されているのでは?
「当たっている確率」だけでなく。「間違って当たりだと判断してしまう確率」も意識しよう。