他人に私のために生きることを求めない

文庫本で3巻、1700ページ以上に及ぶアイン・ランドの小説「肩をすくめるアトラス」を読破した。
アメリカで聖書の次に読まれている小説、と言われるだけのことはある。
面白く、そして考えさせられる小説だった。
特に経営者をしている人、自分が「商人」だと自覚している人は、この作品から勇気をもらえると思う。
量がとにかく多いのだけれど、ぜひ読んでみてほしい。

で、作品中で重要な意味を持つ、下記のフレーズ。

己の人生とその愛によって私は誓う。
私は決して他人のために生きることはなく
他人に私のために生きることを求めない。

他人のために生きない、冷たい人だと思うだろうか。
私はそうは思わなかった。言い換えれば「自分のために生きる」というごく当たり前の意味となる。

私は小さな会社の社長をやっている。おそらくではあるが、自分の仕事が誰かのためになっているのだと思う。(そうでなければお金をもらえないだろうから)
しかしそれは、他人のために、自分のお金や時間を犠牲にしてやっているわけではない。きちんと対価をもらい、サービスを提供しているだけだ。

他人のために生きているのではない。
自分のために生きて、結果としてそれが他人のためになっている。

他人にも私のために生きることを求めない。

昔、「(先生の)鞄持ちになりたい」と言われたことがある。
「鞄くらい自分で持てるから不要だ」と断った。(もちろん比喩なのは承知している)
従業員にはいわゆる滅私奉公は求めない。
個人や家庭の方が人生の優先順位が高いのであれば、それを犠牲にしてまで仕事をしてもらう必要はない。

各自が自分のために生きてほしい。
結果として、それが私のためになることはあるだろう。
そうなったら嬉しく思う。その際はもちろん、「ありがとう」と声をかけたい。

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