大概の映画や小説では、「悪い奴」は明確にわかる。
主人公に害をなす奴は悪い奴だ。
ところが、現実はそう単純ではない。
人間は多面的で、ある面では味方で、ある面では敵で・・ということは往々にしてある。
本当の「悪」は見えにくい。それは一見正義や善意の形をとることもある。
本人は善意からやっていることだけれど、それがひどいレベルの害を及ぼす。
スケープゴートを作ることもある。皆がその人を「悪」だと糾弾している間に、本当に悪い奴は逃げおおせてしまう。
絶対の悪はいない。悪はそこかしこに、少しずつ存在している。タイミングによって、顕在化したりしなかったりする。
だから誰かを悪だと言うのは避けたい。
今、ここで、特定の条件において、たまたま私と敵対しているに過ぎないのだから。