運命が親切なうちに

イソップの寓話にこんなのがあるそうだ。

山奥の森。イノシシが木に向かって牙を研いでいると、
そこにキツネがやってきた。キツネは言う。
「なぜそんなことをしているのか?猟師も猟犬も居ないではないか。ここに脅威は全くない」
イノシシは「確かに」と応じて、その上でこう言う。
「しかし、実際危険が発生した時には、私は自分の武器を研ぐことよりも、他のことを考えなければならないだろう」
(だから、今のうちに牙を研いでおくのだ)

古代ローマの哲学者、セネカも同様のことを言っている。

心配のない時にこそ、魂は困難な事態に対する用意を整えるべきであり、
運命の不当な仕打ちに対抗するには、運命が親切なうちに強く鍛えられるべきだ。

ー「倫理書簡集」セネカ

運命が親切なうちに、運命が豹変した時に備えて、用意を整える(牙を研ぐ)。
親切だからと気を抜いていたら、いつかそれを後悔することになる。

関連記事

  1. 誰にも奪えないもの

  2. 自分一人のせいではない、すべてではない、ずっとではない

  3. かつて居た場所

  4. とてつもない幸運

  5. 自分の手近の義務を

  6. できないのは頑張りが足りないから、だって?

最近の記事

  1. 2025.02.12

    逆光、反射
  2. 2025.02.07

    サウナ巡り
  3. 2025.02.05

    懐かしいもの

読書記録(ブクログ)