「記念碑を建てる」というサイン

否認に陥った企業を見ていくと、
ライバルをバカにすることと並んで多いのが、
記念碑を建てるという行為だ。

– なぜリーダーは「失敗」を認められないのか/リチャード・S・テドロー著

上記の引用で言う「否認」とは、現状を把握できなかった、もしくは把握していながら見て見ぬ振りをする行為を指す。
記念碑を建てるというのは、自社ビル、創業者の銅像、美術館や慈善団体の設立、**賞の受賞、(本業と関係のない)セミナー登壇、業界団体への(過度な)貢献などのことだと理解している。

それらはもちろん価値のある行為ではあるが、事業にとって直接的にプラスになるものではない。
足下の業績は順調だろうか?経営がうまくいかない現状を「否認」するために、記念碑を建てると言う行為に熱中していないか?

日本でも、自社ビルを建てると会社の衰退が始まる・・と言われることがある。
もちろんそんな単純な話ではない。自社ビルを建てて事業を益々発展させた企業も知っている。
「いや、私の知っている社長は自社ビルを建てたことが上場へのきっかけになった」などという反論は意味がない。それは単なる個別具体的な事例だから。
100%そうとは言っていない。私が言っているのはあくまで傾向、確率の話だ。

記念碑を建てるという行為はひとつのサインだ。
事業がうまく行きすぎ、他に投資をすべきところが思い当たらないのかもしれない。
もしくは、事業がうまくいかず、せめて社会的な価値を得ようとしているのかもしれない。

残念ながら後者のケースが多いように思う。

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