ふと気づくと、「米倉」という個人名で依頼が来ることがほぼ無くなってしまった。
法人名である「株式会社フロウシンク」に依頼が来ている。
私がクライアントと一回も会わずに仕事が終わる(スタッフが完結させてくれる)ことも珍しくなくなった。
自分がいないところで物事が決まるのはむしろ好ましいことで(もちろん限度はあるが)、
私がいなくなっても回る組織を作れれば、規模も拡大できるだろう。
これはいいことだ
このことは喜ぶべきで、「米倉」という個人の職人から、「株式会社フロウシンク」という集団・組織で仕事ができるようになったということだ。
社長のなかには、このような状態をさみしがる人もいるそうだ。いわく、「自分がいないとこの会社は回らない」。自分が周囲から、余人を持って代えがたい人物、事業のキーマンだと思われたいのだろう。少し子供っぽい気もするが、自分が主役でないと満足できない人種だからこそ経営者なんてリスクの高い仕事をしているとも言える。
私は生来の醒めた性格のせいかあまりそういう気持ちがない。
そもそも経営コンサルタントなんてどこまで言っても脇役であり、クライアントである社長よりも目立つのはおかしいと思いこの10年業務をしてきた。我々は黒子であり、縁の下で辛くて面倒で陽の当たらない仕事をする役回りだと思っている。
いまは縁あって社長をやっているけれど、社内に対しても脇役のような、他人の会社のコンサルティングをしているような気持ちで物事に向き合っている。
もちろん完璧ではなく、いろいろとへこむこともあるけれど。
そんなわけで、自分個人の名前ではなく会社名で仕事の依頼が来る今の状況に満足している。
わずかの寂しさもないと言えば嘘になるが、喜びの方が大きい。
だってその方が、たくさんの中小企業を、社長とその社員を、幸福にすることができるのだから。