中立的な立ち位置を確保できるのは、極めて稀なケースだ。
あらゆる影響から独立した人間というのは存在しないと思う。
生まれた国、家庭、思想、組織の事情、派閥など、何がしかの前提条件に囚われている。
「ゼロベースで考えよう」と言われるが、それは不可能で、
実際にやっているのは前提条件の確認に過ぎない。
大事なのはそれを意識して、つまり、「自分が偏っている」ということを把握した上で喋ること。
自分の立ち位置を明確にする。結論がどちらに転んでもいいような賢しらな態度は取らない。
そうすれば、論争相手を敵ではなく「偏り方が違う人というだけ」と、客観的に捉えられるように思う。
自分が中立的だ、平等だ正義だと考えると、そこから逸脱する他者に対して、人はどこまでも冷酷になれる。
それは歴史的な事件の数々が証明している。つい最近も我々はすぐ近くでそれを目撃したはずだ。