最近新装版が出た名著「一倉定の社長学シリーズ 1 経営戦略」に、
社長の怠慢として3つの項目が挙げられている。
ひとつは、「自分で決めようとしない」こと。
名社長の条件は誤りを犯さないことではなく、誤りを素早く発見して、これを正すことだ。
誤りを犯すよりも、決定が遅くなり機を逸してしまうことの方が損失だ。
二つ目は、「顧客のところへ行かない」こと。
自分は社長室に閉じこもり、仲間の社長連中やコンサルタント、社員からの報告のみで判断を行うことを戒めている。
三つ目は、「会社の数字を見ない」ことだ。
社長の役割は数字を創り出すことであり、数字を見ずしてどうやって数字を創り出せるのかと強く批判している。
会社の数字など加減乗除であり、高度な数学の知識が求められるわけではない。なのに数字を見ないのは怠慢でしかない。
上記の指摘は、私も経営者のはしくれとして身につまされる。
自分で決め、顧客と直接話し、数字をきちんと確認しているつもりではあるが、
意思決定のスピードはもっと早くできるし、顧客から情報を聞き出す手法ももっと洗練できるだろう。
会社の数字も、もっと素早く取得し判断することができると思う。いかんせん中途半端だ。
ちなみに、この書籍は名著なので、経営コンサルタントの方は一読することをお進めする。
MBA的な技法が入ってくる前の、日本的な経営コンサルタントの在り方がよくわかる。
そしてその手法は決して時代遅れではない。いまでも使える手法がたくさん見つかるだろう。
一冊1万5千円前後とやたら高いのが難点だが、必要なので全巻揃えてしまった。