できないのは頑張りが足りないから、だって?

経営コンサルタントが、中小企業にある提案をした。
それはその企業の規模から言えば、到底不可能なものだった。
資金も足りない、設備もない、スタッフにもそれをやる時間はない。
一言で言えば、経営資源が足りない。
また、考えられる副作用も甚大なものだと予想された。

それでもその経営コンサルタントは、自分の提案を実行するように求めた。
これは身を切る改革だと、経営革新だと。痛みに耐えた先には素晴らしい世界があるのだと。
社長はそのコンサルタントが描く未来に幻惑され、大きな借金をした上で、この提案を実行するようスタッフに厳命した。

結果。
利益が一時的にでた。社長は喜び、経営コンサルタントは多額の報酬を受け取った。
数年もしないうちに副作用が顕在化した。既存の顧客は離れ、スタッフは疲弊し離職者も出た。利益もでない。
そこには、もはや回復不能なダメージを負ってしまった会社があった。

社長に「話が違う!」と責められた経営コンサルタントはこういった。
「できないのは頑張りが足りないからです、さらに改革を進めましょう」
「やらなければもっとひどいことになっていたんですよ」

これはどちらに転んでも負けない、詐欺師の論法だ。
うまくいけば(私の指示に従い)頑張ったから。
うまくいかなければ、(私の指示に従わず)頑張りが足りなかったから、
もしくは、やらなければもっとひどいことになっていた(から、やってよかった)。

—–

さて、これはとある会社の話だった。フィクションだ。
翻って、我が国の感染症対策はどうだろうか?同じことをやってはしないか。

頑張ったかどうか、成果がでたかどうかをどうやって判断するのかをあらかじめ定義していなければ、
いずれにせよ「もっと頑張れ」と責められるだけだ。

我々はいつまでマスクをし続けなければならないのでしょうね。
日常的に酸素の供給量が制限されることに、表情の読み取りが困難になることに、何かの副作用はないのでしょうかね。

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