効果あってこその効率

現代社会では、効率の悪い作業は嫌われる。
そんな作業をしている人は馬鹿にされたりもする。

効率の悪い仕事ばかりしてきた

自分が経営コンサルタント(中小企業診断士)として独立して10年経った。
なんとか生き残れたというのが正直な感想だが、
自分がやってきた仕事を振り返ると、決して効率が良かったとは思えない。

たくさんの業種に対応し、直接の面談が必要で、ノウハウを横展開もできないような効率が悪いコンサルティング仕事や、
時間当たりの単価が低い公的機関の専門家派遣制度などをコツコツやってきた。

経営コンサルタントは一件華やかそうに見えるが、労働集約的な、自分が動かなければ1円にもならない職業だ。

ビジネスとして考えれば、効率は悪かった。
経営コンサルはそういうものとはいえど、もっとスマートに事業を軌道に乗せる方法もあっただろう。

効果はあった

効率は悪かった。しかし、効果はあった。

業種を絞らず仕事を受けていたためノウハウは横展開できなかったが、たくさんの業種のコンサルを経験したことで知識に幅ができ、業種を絞らなかったことがプラスに働くようになってきた。浅く広く、どんな業種にでもそれなりに対応できるようになった。

効率が悪い仕事で得た公的機関の人脈から仕事を紹介してもらえた。報酬に上限のある専門家派遣だけではなく、「ここからは民間同士の契約で」と、高単価の仕事に促してもらうこともあった。「普段安い報酬で助けてもらって悪いから」と、余った予算を利用してとても単価の高い仕事をいただくこともあった。

もし最初から「効率」を考えて、特定の業種に特化したり、単価の低い仕事を断ったりしていたら、今の状況はなかっただろう。

次に効率

そして今は、効率を上げるための活動をしている。
スタッフを雇い事務作業を行ってもらう、ビデオ会議を活用する、システム投資を行うなど。

効果が出ることがわかったので、その行為を効率化することに着手し、一定の成果が出つつある。

補助金の支援業務などは効率化の最たるもので、10人かそこらの人数であれだけの数を依頼を捌くことは他の会社にはできないと自負している。(まだまだ従業員に無理をさせている面も否めない。もっと効率化したい)

ものづくり補助金に到っては、年間で150社以上、直近の発表では福岡県内の採択企業のうち2割を当社が支援している。
少しでもこの補助金にかかわった人であれば、これがどれだけ凄いことかわかっていただけるだろう。

効果あってこその効率

効率を求めるのは、効果が得られることがわかってからだ。
効果の無い、または相対的に効果が少ないことをどれだけ効率的にやったとしても、欲しい成果は得られない。

間違った方向に全力疾走して、何の意味があるだろう?

最初から効率を求めればその陥穽にはまってしまう。
無駄かもしれない、非効率かもしれない。でもまずはやってみる。効果を確認するためだ。
そして効果が出るのなら、次にそれを効率化してみる。

一見非効率なことでも、効果が出そうで、そして他の手段がないのなら、それをやった方が良い。
少なくともやらないよりはるかにマシだ。

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