結構前の話になるが、ある営業の方と世間話をしていた。
数日後に会う顧客が、値引きの要請がきついというぼやきだった。
とにかく値引きしないと納得してくれないと。
「どう対応してるんですか?利益は確保しないと商売にならないでしょう?」
と私が聞くと、営業さんはこう答えた。
「簡単ですよ、値引き要求を想定してあらかじめ高い価格の見積もりを提示しておいて、
そこから下げた見積もりを再度提示するんです。交渉に負けたふりをしてね。
まあ、結果落ち着くのは、他の取引先と同じ価格なんですけどね」
・・・・おそらく、顧客は値引き交渉に成功した、お得だと思っているのだろう。
実は見積もりの確認や交渉に無駄な時間を割いただけで、お得どころか時間の無駄でしかなかったのだが
(交渉に勝った満足感も効用であると考えれば計算式もまた変わるだろうが)
私が話した営業さんはまだ良心的だったけれど、なかには値引きしてなお他の顧客より高価格・・というパターンもあるかもしれない。
顧客側の対策としては別の販売業者から相見積もりをとるということになるのだろう。
時間も余計にかかるし、別の業者も値引きを想定して高めで来るのでは・・と考え出すとキリがないが。
信頼できる業者を一社選定し、適正な利益を載せた価格を払うのが最もコストが安いとは思う。
言い値で買えとは言わないけれど、「あの会社は値引き要求がきつい」という評判はその会社を最適解から遠ざけてしまう。