前の戦争の時のこと。
昭和20年の一学期、先生は黒板に「大和魂」と板書した。
夏休みに戦争は終わった。
二学期の初め、先生は黒板に「民主主義」と板書した。一学期のことについては特に触れなかった。
「世の中が変わったから、それに合わせただけだ。」
もし誰かに突っ込まれたら、そう嘯いたことだろう。
来年、同じような風景が日本のそこかしこで見られると思う。
誰もそれを恥ずかしがらない。ただしれっと、以前とは反対のことをやるだけだ。
「周りもそうしてるから」という、とても自立した大人の発言とは思えないひと言を添えて。
なんでもいいから、早く元に戻ってほしい。
失われたものは二度と帰ってこないけれど、そのことについては何も言わない。
不合理な行為をし続ける他者をずっと見ていると、精神がおかしくなりそうだ。