焦点錯覚。今見ているものを過剰に評価する

撮影、カメラ、草原

焦点錯覚(focusing illusion)という現象がある。

例えば、人間の幸福度は容易に変化する。先週の素晴らしいデートのことを思い出してもらえば幸福度は上昇する。
また、10分前に落ちていた10円玉を拾っただけでも幸福度が上がることが実験により確かめられている。

これは、幸福であるかどうかという抽象的な概念を考えるのが苦手な人間が、10円玉を拾ったという、直近に発生した幸福だがささいな出来事を全体の代用としてしまう、つまり焦点を間違えることで起こる現象だ。

ノーベル経済学賞を受賞した心理学者(経済学者ではない)のダニエル・カーネマンは、この焦点錯覚という減少を次の一文で端的に表現している。

あなたがあることを考えているとき、人生においてそのこと以上に重要なことは存在しない。

企業の意思決定、たとえば新事業を開始する、設備投資を行うといったシーンでは、この焦点錯覚に陥る可能性がある。
コンサルタントが話すバラ色の未来に焦点を当てすぎず、その意思決定により発生するメリット・デメリットを総合的に判断する必要がある。
つまり、意思決定にはある程度の時間が必要ということだ。
即断即決といえば聞こえがいい。しかし、それでは焦点錯覚の罠に捉えられてしまうだろう。

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