心理学者のマーティン・セリグマンは、人が失敗や挫折にどのように反応するかを研究し、3つの「P」が苦難からの立ち直りを妨げることを明らかにした。
- 自責化(Personalization):自分が悪いのだと思い込むこと
- 普遍化(Pervasiveness):ある出来事が人生のすべての側面に影響すると思うこと
- 永続化(Permanence):ある出来事の余波がいつまでも続くと思うこと
自分「だけが」悪いと思い、自分は「いつも」そうだと考え、こんなことが「ずっと続く」と思えば、いつまでも立ち直ることなどできないだろう。
自分一人のせいではない、すべてではない、ずっとではない
どんなミスをしたとしても、それが自分一人のせい、ということはほとんどない。相手との相性もあるし、どうしようもない外部環境の要因だってあるだろう。
経営者は「すべてを自分の責任として引き受ける」という言説があるが、それは強い者の論理であり、皆にそれを強制したらほとんどの者は潰れてしまう。
ミスが自分の性格に起因するので、「自分はいつもそうだ」と思ってしまうこともある。しかし、ある企業や部署で成果を出せなかった人間が、転職した途端に大活躍する話なんていくらでもある。性格が変わらなくても、環境が変われば結果は変わる。
ミスの余波はずっとは続かない。いずれ平常運転に戻るし、どんな不幸な状況に置かれたとしても時間がそれを解決してくれる。
「自分一人のせいではない、すべてではない、ずっとではない」
この言葉は「OPTION B」という著書に書かれていた。本当にその通りだと思う。しかし、肉体的・精神的に消耗しているときにはこの当たり前の考え方ができなくなる。
自分は神ではないのだ。周囲に影響されずに「一人で、すべて、ずっと」物事に関われるという考えは、言い方はきついけれど、ある種の傲慢だともいえないだろうか。