「やらないよりやった方がいい」という言葉には、罠がある。
やることのメリットはある。やらないことのデメリットも。これはわかりやすい。
でも、その逆、「やることのデメリット」や「やらないことのメリット」に関する考察が抜けがちだ。
箇条書きにすると、
- やることのメリット
- やらないことのデメリット
- やることのデメリット
- やらないことのメリット
となる。
1と2はすぐに思いつく。3と4は、意識しなければ考えることができない。
何かをやった事で、思わぬ副作用が生じて、却って事態が悪化することがある。
何もやらなくても、外部環境が変わって自然に問題が解決してしまうことがある。
領収書の整理
月末なのでレシートや領収書の整理と会計ソフトへの入力をしている。
お金の管理は社長の仕事だ。
昔を思い出すと領収書を時系列に並べ、A4の紙にのり付けしてファイリングしていた。
そうすべきだと本に書いてあったし、先に独立した先輩の診断士もそうしていたのを見た。
きちんと整理できて、過去の情報の検索も用意だ。「やらないよりはやった方がいい」ことだろう。
今は時間が無駄なのでそんなことはしていない。
月の前半、中盤、後半に分けて、クリアポケットに無造作に押し込んでいる。
後日、何らかの検証が必要になったときは、領収書を引っ張り出して探せばいい。10日分なのでそれほど時間がかからない。
そもそも、そんな機会はめったに訪れないことがわかったからだ。
「やることのデメリット」は、単純作業に時間を取られること。そして、その作業時間に見合う効果が得られないこと。
「やらないことのメリット」は、作業時間を他のことをやる時間に回せること。
言葉足らずを補えば
「やらないよりやった方がいい」と同じような意味でかつもう少し具体的な言葉に、
「やらない善よりやる偽善」がある。たしかに、その意義は認めなくはない。
しかし、その言葉が本来やるべき「費用対効果の検証」を曖昧にしてしまう危険があるように思う。
「やらないよりやった方がいい」のあとに下記の文章を付け加えて考えたい。
「ただし、やらない方がいいこともある。やることで事態が悪化することも。そして、どうせやるなら、最も費用対効果の高い方法を選択しよう」と。
文章が長くなりすぎて、キャッチーではなくなるのが難点だが。