「家族」「仲間」という言葉を使わない理由

「従業員は家族だ」「スタッフは大切な仲間」といった言葉を使ったことがない。
もし私がこういった発言をしていたとしたら、それはあくまで事例として話したものであって、
決して自分の会社や従業員のことを指して言ったわけではない。

もちろん、一日の1/3を占める仕事時間において、
信頼しあえる仲間達と助け合い、
家族のように仲睦まじく働くことは素晴らしいと思う。
安心して仕事ができれば、生産性も上がるだろう。

従業員にそう思ってもらえる組織を作ることができたら、自分も経営者の端くれとして鼻高々だ。

でも、経営者である私自らそれを言ってはいけない。
企業は労働力の対価として給与を払っている。従業員は給与の対価として労働力を提供している。
突き詰めればそれだけだ。

家族や仲間という言葉を経営者が使いだすと、その部分が曖昧になってしまう。
その道を行きすぎれば、相互監視のムラ社会や無償労働を強制する組織になってしまうのではないかと恐れている。
ブラック企業の求人にはたいてい「アットホームな職場です」と書いているものだ。

仲間や家族をやたら強調してくる人は、意図してかそうでないかはともかくとして、
あなたに適切な報酬を与えないまま何かをさせようとしているとすら思う。

捻くれた見方だろうか?冷たい見方だろうか?

会社は家族ではないし、従業員は仲間ではない。
そうは思わないのなら、1ヶ月でも給与の支払いを遅延させてみるといい。
すぐに実感できるだろう。

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