踊れ。音楽の続く限り

仕事が忙しくなってくると(正に今がそうなのだが)、
思い出す小説の一節がある。
20代の頃に初めて読んだ、村上春樹の
「ダンス・ダンス・ダンス」のセリフ。

「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。
おいらの言っていることはわかるかい?

踊るんだ。踊り続けるんだ何故踊るかなんて考えちゃいけない。
意味なんてことは考えちゃいけない。
意味なんてもともとないんだ。
そんなこと考えだしたら足が停まる。

<中略>

だから足を停めちゃいけない。
どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。
きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。
そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。
まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。
使えるものは全部使うんだよ。
ベストを尽くすんだよ。

怖がることは何もない。
あんたはたしかに疲れている。
疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。
何もかもが間違っているように感じられるんだ。
だから足が停まってしまう」

「でも踊るしかないんだよ」

「それもとびっきり上手く踊るんだ。
みんなが感心するくらいに。
そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。
だから踊るんだよ。音楽の続く限り」
オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。

− 村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」より

これは人生や仕事のメタファーだと解釈している。
仕事で悩んだ時にはこの一節を
読み返すようにしている。

とびきり上手く、皆が感心するくらいに

仕事の依頼がある間、
誰かの期待を受けている間は、
それに応えるべく、
とにかく仕事をし続ける。

何らかの意味を見いだそうとすれば辛くなる。
ともすれば袋小路に陥ってしまう。
意味なんてない。
そこに自分がなすべき仕事があるだけだ。

馬鹿馬鹿しくても、誰かに笑われても、
とにかく手順に従い仕事をし続ける。
そして、少しずつでも前に進めていく。

使えるものは使い、
ベストを尽くして。

疲れていると、何もかも間違っているように感じる。
この仕事のやり方でいいのか?
もっといい方法があるのでは?
そもそも自分に向いているのだろうか?

でも、仕事をするしかない。
とびっきり上手く、みんなが感心するくらいに。

音楽の続く限り。


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