空間恐怖(ホラー・ヴァキュイ)というのは、デザイン関係の用語だ。
高価格帯の製品であれば、余白を十分に取ったデザインとする。
低価格帯の製品であれば、余白を取らずゴチャゴチャとしてデザインとする。
高級ブランド品のショーウィンドウと、スーパーの店内を想像してもらうとよい。
デザイン業界では価格帯によって空間(余白)の割合を使い分けるが、ビジネスの場合は違う。
資料の見やすさ、読みやすさという観点からは、説明している内容に関わらず十分に余白を取るのが望ましいのは言うまでもない。
しかし、自分の主張する内容に自信がない人ほど、無理に文章を長くし、使わなくても言い単語を使い、要約になっていない要約を記載する。
文章を削らなければいけない。
一回書いて終わりではなく、書いたものを見直し、無駄なところ、冗長なところを削っていく。
自分が生み出した文章を削除するのはつらい。できれば全部残しておきたい。
でも、作成した文章が期待通りの成果を生み出すためには、そうした方がいい。
昔の中小企業診断士は、つくった資料の分量(ひどいときには、印刷した紙の重さ)が価値だという悪しき風習があった。
いまでも似たようなことを言う人がいる。これはまさに「空間恐怖」だろう。余白を怖がり、隙間無くデータと文章を埋める。
少ない文章量で同じ成果を出せるのなら、その方が生産性が高い。
資料を作る時間は却って長くなるかもしれない(文章を削る時間が追加される)が、読み手は短時間で理解できるようになるので、全体の生産性は高くなるだろう。
慣れれば、文章そのものを作成する時間も短くなるはずだ。