ものづくり補助金の神話(1)〜採択されやすい認定支援機関がある?

ものづくり補助金には、様々な「神話」があります。
出所不明の噂だったり、誰かの勘違いがいつのまにか定説になったり、
コンサル会社が自分の利益のために敢えて嘘を拡散したり・・・・

そんな噂のひとつがこれです。

確認書を書いてもらう認定支援機関によって、
採択されやすさが異なる。

採択されやすい認定支援機関として挙げられるのは、
商工会・会議所などの公的機関だったり、金融機関だったり様々です。

認定支援機関確認書とは

ものづくり補助金の申請には、「認定支援機関確認書」なる書類
(A4 二枚、昨年までは一枚でしたが、今年からページが増えました)
が必要になります。

この書類を書けるのは「認定支援機関」だけです。
認定支援機関は、正式名称を「経営革新等支援機関」と言います。

[blogcard url=”http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/”]

近年、中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、
中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、
平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」が施行され、
中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を
認定する制度が創設されました。

認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る
実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を、
経営革新等支援機関として認定することにより、
中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。

金融機関や公的機関、弁護士、税理士、中小企業診断士、
民間のコンサルティング会社などが登録されており、その数は
3万団体以上です。

もちろん、当社もこの認定支援機関として認定されています。

ものづくり補助金を申請したい企業は、
この団体のどれかに依頼して、
「確認書」を書いてもらわなければならない。

「有利な」認定支援機関なんて存在しない

クライアントからこう言われたことがあります。

商工会などの公的機関で確認書を書いてもらった方が
採択されやすいと聞いた。彼らに依頼した方がいいだろうか?

この質問に対する私の回答は、

「認定支援機関によって優遇されるということはありません。
お付き合い上、頼んだ方がいいような認定支援機関があれば、
そこに書いてもらえばいいでしょう。
ただし、不備があると不採択になるので、確認書のチェックだけ
私にやらせてください。
もちろん、フロウシンクも認定支援機関なので当社で作成する
ことも可能です。」

確認書を書いてもらうのに有利な認定支援機関は存在しません。
なぜこう言い切るのか、理由は二つ。

理由その1。論理面から。
確認書を書いてもらうのに有利な認定支援機関は存在しません。
もしそんなものがあるとしたら、国はそれを中小企業に開示する義務があります。
申請書の内容ではなく、3万社もある認定支援機関のどれに頼むかで
採択の可能性が左右されるとする。
そんな重要な情報を中小企業に教えていないとしたら、
酷い詐欺だと思いませんか?

理由その2。経験面から。
当社は商工会・会議所などの公的機関や地方銀行などの中小企業とも
一緒に仕事をしています。
ものづくり補助金の実績について情報交換することもあります。
しかし、その中で特定の組織が採択されやすいという話は聞いたことがありません。
各団体の採択率について開示し合うこともありますが、
特定の団体が採択率が飛び抜けて・毎回・高いということはありません。
#ある年だけ良かった、ということはあります。

「そうは言っても、採択者リストを見ると公的機関や金融機関の数が多いではないか」

それは、分母の件を考慮していない発言です。
公的機関や金融機関に確認書を依頼する会社が多い(分母が多い)ため、
結果として採択者一覧にもそれらの認定支援機関の名前が多くなっているだけです。

確認書と申請書は違う

最後に捕捉ですが、認定支援機関が「確認書」だけでなく「申請書」
の作成を支援する場合があります。(当社もそうです)
この場合、認定支援機関によって採択率は変わります。
経験のある認定支援機関ほど、採択されやすい申請書を書くノウハウを
蓄積しているからです。
#この記事で話しているのは、あくまで「確認書」についてです。

神話にだまされないように

「採択されやすいので**に確認書を書いてもらった方がいい」
と発言する方があなたの周りに居るとすれば、
その人は特に根拠ない噂を真に受けている人か、
何らかの意図をもった誘導を行うためにそう言っているのかの
どちらかでしょう。

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