H31「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」の採択結果と、二次公募の予測

先日、平成31年度本予算にて実施された、「ものづくり補助金(高度連携型)」の採択結果発表が行われました。

平成31年度「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」の採択結果等について

当社実績

当社は認定支援機関として、九州内で1社の支援をさせていただき、
無事採択されました。おめでとうございます。

高い採択率

応募者は139グループ、344者で、採択者は96グループ、238者です。
#高度連携型は複数企業(2者以上)での共同申請を行う必要があります。

グループで採択率を考えると69.06%、企業数でも69.18%とほぼ変わりません。

単独申請が基本の「ものづくり補助金 生産性向上促進補助金」の採択率はちょうど50%だったことから、
採択率は非常に高いと言えるでしょう。

複数企業での共同申請という形式がもたらす事務処理の煩雑さ、
事業計画の作りにくさを忌避して、申請者自体が少なかったのだと思われます。

予算の消化具合は

高度連携型の予算は5,000百万円(=50億)です。
この補助金は、補助上限額が22,000千円となっています。

実際には専門家活用による増額、補助金のうち
2,000千円をグループのなかで自由に配分可能といった
ルールがあり上限額が膨らむ可能性がありますが、
ここでは計算を単純にするため考慮しないものとします。

まずは単純すぎる予想ですが、今回採択された238者が全て
満額の22,000千円補助金を申請しているとしましょう。

238者 × 22,000千円 = 5,236百万

予算の50億を超えてしまいますね。予算には事務局の運営費も
入っておりますので、この想定は現実的ではありません。
全員が増額分の2,000千円を申請せず、
20,000千円を使うとすると、4,760百万とギリギリ50億に収まり、
事務局運営費も出ます。
しかしこれは採択者全員が30,000千円ジャストの
経費を使うと仮定しているようなもので、これまた現実的ではないでしょう。

皆が満額使うわけではない

全ての採択企業が補助金を満額使うわけではありません。
過去の実績で言えば、H26年補正の「ものづくり補助金」で、
上限額10,000千円にも関わらず平均利用金額は8,439千円でした。
約84.4%ですね。
今回も同程度の平均利用金額だと想定すれば、

22,000千円 × 84.4% = 18,568千円

238者 × 18,568千円 = 4,419百万円

事務局運営費を考えると、許容できる数値になってきました。
ただ、この仮定だと予算はほぼ全て使い切っていることになり、二次公募はなさそうです。

共同申請を考慮することと、地域経済牽引型の存在

と、普通のもの補助であれば検討はここまでで終了です。
しかし筆者は細かい性格ですので、さらなる深掘りを試みます。
今回の場合、つまり「高度連携型」の場合、さらに考慮すべきことがあります。

ひとつは、共同申請で起こりうる「補助金低額申請」の可能性です。
高度連携型は共同申請が必須であるため、必ず2者以上の企業で申請します。
最大10者まで可能ですので、採択一覧を見ても5者で申請しているグループもありました。

さて、これらの企業が全て、補助金を満額利用するほど設備投資の需要が旺盛でしょうか?
グループ内には製造業以外の企業も存在するでしょう。設備投資はほぼ必要ないかもしれません。
取引先に頼まれ、補助金を活用する意図はないながらも仕事になるならとグループに参加した企業もあると思います。
それでもこの補助金のルール上、何らかの設備投資を行う必要があります。彼らは、おそらく最小限の金額の設備投資を行うのではないでしょうか?

そのため、補助金平均利用額が単体申請時よりも減少する可能性が高いです。

もうひとつの理由、それは、地域経済牽引型の存在です。
高度連携型の補助金額は最大で22,000千円ですが、それは「企業間データ活用型」の話です。
もう一つの「地域経済牽引型」は、上限額が10,000千円となります。

採択者のうちのどれくらいの割合が企業間データ活用型で、どれくらいが地域経済牽引型なのかは
発表されていません。少ないながらもある程度の割合で、地域経済牽引型での申請をしているグループも存在すると思われます。

これらの要素を考慮すると、予算消費額は想定より低い可能性もあります。

たとえば、ざっくりとした推定ではありますが、補助金の平均利用金額が
10,000千円程度に落ちたとします。

238者 × 10,000千円 = 2,380百万円

この場合、二次募集を行うだけの十分な予算が残っているということになります。

本当のところはわかりません、上記はあくまで予測でしかありません。
ただ、二次募集があるかもしれない・・くらいには思っておいて良さそうです。

二次公募はあるかもしれない。しかし時間的な制約が厳しい

仮に二次公募が行われるとしても、年度内に事業を終わらせるという時間的な制約から、
事業実施機関は1ヶ月〜2ヶ月程度になるでしょう。この期間中に発注〜納品〜支払から
事業報告までを終わらせる、非常にタイトなスケジュールとなる可能性が高いです。

導入する設備によっては、申請が不可能・・というケースも出てくるでしょう。

もの補助 生産性向上に採択された企業は、高度連携も重複申請可能

ちなみに、もの補助(生産性向上)、単独申請分で採択された企業でも、高度連携に重複して
申請することが可能です。
ただし、事業テーマや導入する設備も違うものにする必要があります。

二次公募が始まることを想定して、取引先やパートナー企業と共に行う新たな取り組みはないだろうか・・
と想定しておくのも悪くありませんね。
仮に二次公募がないとしても、来年も同様の「高度連携型」補助金が実施されれば、考えたアイデアはその際に活用できます。

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