ミンツバーグの名著「戦略サファリ」の図表を拝借。
述べているテーマは、著書とはまったく異なる。
物事を眺める時に必要な視点はいくつかある、ということ。
前を見る
ものごと、計画とでも戦略とでも、出来事でも何でもいい。
このまま進めばどうなるのか?前(将来)を見据える必要があるのは言うまでもないだろう。
後ろを見る
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ、と言う。
後ろを、自分の来し方を振り返ることは現状を把握する上で重要だし、
過去にできなかったことが将来簡単にできるとは思えない。
自分の性格、会社の経営資源などにより、「前を見た」ときの打ち手に制約を受けることもあるだろう。
かといって、後ろばかりみていては何もできない。
評論家は何ごともなせない。
見越す
単純な前を見るだけではなく、先々の状況変化を「見越して」手を打つこともできる。
見当が外れることもあるだろう。「こうなるだろう」という予測をしていたつもりが、実のところ「こうなって欲しい」という願望だった、というのはままある。
横を見る
横とは「競合他社」のことだ。ライバルは何をやっているだろう?それは成功しているか?
古典的な3C分析にあるとおり、経営は顧客と競合との関係性のなかで成り立っている。
「自分が何をやれるか」だけではなく、「競合は何をやらせてくれるか」まで視野にいれて計画を立てなければ、競争には勝てない。
上から見る
上から見る。例えばある部署の戦略であれば、全社戦略に制約を受けるだろう。
小さな会社でも、業界団体や世話になった古参の同業者などの「上」は存在する。
上を意識せずに勝手に振る舞えば、共同体から制裁を受けることも覚悟しなければならない。
下を見る
下を見ることも大事だ。下というと聞こえは悪い。実際には「協力者」とでも言えばいいだろうか。
自社のパートナー企業や外注先などの同行も踏まえた計画を立てなければ思わぬ離反を招くこともある。
全体を通して見る
全体のバランスをおろそかにしてはいけない。最後にそれぞれの視点に偏りがないか「全体を通して」見る。
バランスが良い、というのは、全てが平均的であることを意味しない。ある要素が突出していても、そこにバランスが発生することはあり得る。
全ての視点を持つ人は稀で、意識して訓練しないとどれかの視点が抜け、それ故に大きな失敗をしてしまうかもしれない。
たとえば私は「上から見る」ことと「後ろを見る」ことに疎いように自分ではそう思っている。
自分が意識していない視点を持っている社員や外部のコンサルの助けを借りつつ、漏れの無い思考を心掛けたい。