ビジネスモデルキャンバス解説、第4回。
前回までの記事で、「顧客」が必要とするもので、自社が提供できる「価値」は何か?を考えた。
どれだけ良い商品やサービスでも、それを必要とする顧客に届かなければ意味が無い。
今回は、価値をどう届けるか、そして一度できた顧客とのつながりをどう維持するかについて、ビジネスモデルキャンバスを使って考える。
「チャネル」どうやって届けるか?
「顧客」が必要とする「価値」を、物理的にどう届けるか?を「チャネル」の枠で考える。
わかりやすいのは小売店だろう。アップルストアのように専門店を作り、そこで製品や体験を提供する。
また、スーパーや雑貨店においてもらう、ネット販売を行う、ダイレクトメールや紹介販売など、いろいろな手段がある。
要は顧客との接点(タッチポイント)は、全てチャネルであると考えていい。
大きく分類すれば、チャネルの機能は次の5つだ。
- 認知
- 評価
- 購入
- 提供
- アフターサービス
当社のようなコンサルティング会社は物理的な「商品」を持たない。
このブログやセミナー、パートナー企業の紹介などが主な「チャネル」だ。
事務所でモノを売っているわけではないが、内装や設備を見ることで
当社の社風や仕事のやり方を理解してもらうという意味では一種のショールームでありチャネルであると言える。
「関係づくり」どうやって維持するか?
前述の「チャネル」が店舗やネットなどの「物理的」なものだとすれば、この章で説明する「関係づくり」は、論理的、感情的なものと言える。
会社側の目的としては「顧客獲得」「顧客維持」「販売拡大」などが挙げられる。
これを忘れてはいけない。というのは、顧客に感情移入するあまり無料でサービスを提供したり、会社にとって不利益になることを行ってしまう社員が出てしまうからだ。
顧客と「良い」関係を作るのはもちろんなのだが、その目的はあくまで「顧客獲得」「顧客維持」「販売拡大」のためだ。
ポイントは顧客の「負担」をできる限り減らすこと。Q&Aをネットに用意する、顧客のニーズに先回りして情報提供する、コミュニティを上手く構築するなど。
リッツカールトンやザッポスに代表される「顧客の期待を大幅に超える感動的なサービス」は、売上にはあまり効果がないことが研究により明らかになっている。
それよりも顧客の負担を減らす取り組みに注力した方が効果が高いようだ。
その「価値」、本当に提供できるのか?
さて、これまでの回で、「顧客」を決めて、「価値」を決めて、その提供方法「チャネル」「関係作り」も決まった。
ところでその「価値」、本当に自社で提供できるものだろうか?それを考える上でビジネスモデルキャンバスの左半分にある「経営資源」「重要活動」「協力者」の枠が重要になる。次回はそれらの説明を行う。