仕事をしていると、嫌なことだってある。
自分のミスでそうなることもあれば、
まったくの不可抗力で不快な思いをすることもある。
看護師達には、患者ととりわけひどい感情的なやりとりを経験したときに、看護師同士で励まし合ったり、心のなかで繰り返して自分を押し付けたりするために使うQTIPという4文字からなるキャッチフレーズがある。
ー「おもてなし幻想」244pより
QTIPとは、Quit Takin’it Personallyの略で、日本語訳すれば「個人的に受け止めない」という意味になる。
嫌な思いをしたからといって、それを次の患者への応対に影響させることはできません。
次の患者には私からできる限り最善の対応を受ける権利があります。
少し前に誰か別の人とひどい経験をしたからといって患者に最善の対応ができないなんて身勝手です。
だからわたしはひどい経験も個人的に受け止めません。
1つ1つの状況で最善を尽くし、そしてその患者への対応が終わったら、まったく新しい気持ちで次の患者に向き合います。
ー同書より
「何もそんな言い方をしなくても」と嘆息したくなるような人は残念ながら存在するし、
彼らとやりとりをすれば心身が消耗することもある。
それでも、QTIP、つまりそのことを個人的に受け止めないようにして、
次の仕事に引きずらないようにしなければならない。
その不快な体験は、個人を否定するものではない。
あくまで「このタイミングで仕事をしているあなたの役割」を批判するものだ。
このあたりは「分人主義」の考え方が参考になると思う。