単に生き残っただけ

短いサラリーマン人生の中で、「尊敬できる上司」が2名いた。
そのうちの1人が、お盆前に突然亡くなったとの連絡を受けた。

当時私はIT業界にいた。東京で仕事をしていた。
上司は恐ろしく頭のいい人だった。
これまでたくさん頭のいい人と仕事をしてきたが、あの人を超える頭脳にはまだ出会えていない。
日本のインターネット黎明期に、非常に重要なプログラムを書いた人として業界では有名だ。
一緒に客先へ訪問した際は、顧客からサインを求められるような人物だった。

私は彼の指示で、某都市銀行(今は合併で名前がなくなったが)の
メールアカウント登録のためのプログラム(シェルスクリプト)を作成したのを覚えている。
今思えば、そんな重要なものを25歳かそこらの若造に作らせるのもすごいなと思うが・・・・
上司は「好きにやってください、何かあれば責任は全て私が取るんで」と言ってくれた。
もし自分が出世したら、部下にさらっとこう言えるような上司になろうと思った。
(出世はしなかったが、起業して部下を持つようにはなった)

社会にとって有意な、余人をもって変えがたい人物が、早くに死んでしまい、
大した能力のない私のような人間が生き残る。
私はまだ当時の彼の水準にすら届いていないのに、
のうのうと生きて、いっぱしの経営者面をして偉そうに社員に指示をしている。
なんと不公平な世の中だろうか。

R.I.P.

関連記事

  1. 気候変動にリネーム

  2. 天命を待てるほどに、人事を尽くす

  3. 2+2=5

  4. 世界が歪んで見えるとき

  5. 安定した出力の人

  6. 出張続き/お金と健康と時間

最近の記事

  1. 2025.06.06

    ドヤらない
  2. 2025.06.05

    10カメラ10色
  3. 2025.06.03

    ローカル神社

読書記録(ブクログ)