見ているけれど、見えてはいない(変化の見落とし)

幽霊、おばけ、モノクロ

人間の視覚はあてにならない。
まずはこの動画を見て下記の質問に答えて欲しい。

「白い服を着た男女がバスケットボールをパスしあっている。パスの回数を数えよ」

さて、あなたにはゴリラが見えただろうか?
セミナーの冒頭に、この動画を流して、ゴリラが見えたかを受講者に確認したことがある。
どのセミナーでも、だいたい半分程度の参加者が「見えた」と答え、残りの半分は「え?何のこと?」という表情をする。
この実験は様々な場所で行われているが、被験者のプロフィールに関係なくその割合はおおよそ1:1になるそうだ。

変化の見落とし

視線追跡装置を用いた調査では、全員がゴリラを見ていた、つまり視野にとらえていた。
しかし、それを「見た」と認識したのは50%に過ぎない。

人間は、自分の視野の中で大きな変化(この動画の場合はゴリラが横切った)がおきても、別の部分(白い服のグループのパスの回数)に注意が向いていれば、簡単にそれを見落としてしまう。

パスを数えないでよい人を雇う

経営においても、同様の見落としが発生する。
自分の会社だから、慣れているからこそ、突発的な事象、変化の兆候を見逃してしまう。

企業が中小企業診断士などの外部の専門家を雇う意義は、画面を横切るゴリラを素早く見つけるためと言える。

勉強している中小企業診断士であれば、経済学や心理学、社会学にも明るく、人間がこうした間違いを起こしがちなことを事前に知っているため、この動画のようなトリックに引っかからない。

彼らは普段の業務から一歩離れた視点を持って経営を見つめている。
パスの回数を数えていないので、ゴリラを冷静に見つけることができるのだ。

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